1.チャイルドシートの目的
・小児を衝突から守る。
・衝突のショックを体の大きな部分で受け止め、骨格の比較的強い部分、例えば腰、背中、肩全体に分散させる。
・室内の突起物や同乗者、あるいは車外に放り出されて地面や他の自動車に衝突することを防ぐ。
2.チャイルドシートを選ぶ基準
選ぶ基準は一般的には「こどもの体格(厳密には座高)に合い、自動車にも確実に固定できるもの。そして値段が適当で、毎日繰り返して、親が正しく使用し続けられるもの。」と言える。
選択基準には安全性、適合性、利便性、快適性の4要素がある。
・安全性
取扱い説明書をチェックしましょう。
ちなみに、日本製なら<運輸省認定(指定)>マーク。輸入品については、日本の運輸省指定を取得したものと、本国の基準(ヨーロッパ製:ECE,No.4403、アメリカ製:FMVSS,No.213)で販売されているものがあります。
・適合性
チャイルドシートは自動車の座席に適合し、かつ衝突時の子供の移動量を最小限にする目的で、いつも強固に固定されていなければならない。固定方法には、2点固定式と3点固定式がある。
また、自動車のシートの形状や座面の角度、そしてチャイルドシート底面の形状にも気をつけたい。座面の強い落とし込みやセンタートンネルの大きな盛り上がりは安定した取り付けを妨げる。シートベルトの長さが十分か、バックルとチャイルドシートの取り付け穴(あるいは溝やフック)が干渉しないかなどの点検も大切である。
・利便性
チャイルドシートは、親はもちろん祖父母や子供に関わる人達が誰でも、いつでも正しく取り扱うことができなければならない。
例:「新生児には新生児専用シートか、長く使用できるコンバーチブルシートか?」利便性を考えると新生児専用シートの方が軽くて運びやすく、キャリアーとしても使用できる。また、単機能で誤使用が起こりにくいといえる。
・快適性
年齢と体格にあったシートが快適さの基本である。チャイルドシートはプラスチックのシェルに発泡スチロールやスポンジが貼られ、汗をかきやすい。カバーは通気性と吸湿性に優れ、洗濯できるものがよいであろう。バックルの金属部分は炎天下で高温になりやすく火傷の危険がある。
3.チャイルドシート普及上の問題点
着用により小児車内外傷の減少が期待されるが、正しく使用できない(「不適合性」や「誤使用」)ために事故が着用率の上昇とともに増加することが予想される。「正しい着用」を呼びかける必要がある。
また固定方式やシート形状にメーカー間の統一がないため、「誤使用」を招きやすい。誤使用により危険と勘違いし、チャイルドシートを使うのをやめ、抱っこするようになることも考えられる。
4.新生児、乳児のチャイルドシート着座の姿勢について(欧米の見解)
まず、骨格や筋肉が未発達な新生児や乳児を頻繁に自動車に乗せることは原則的には不適当であり、自動車が日常必需品である現代においてもこの原則に変わりがないことを確認しておきたい。
最も衝撃の強い前方衝突を想定し、後向け45°に座らせる考え方が欧米では一般的であり、アメリカ小児科学会もこれを推奨している(注:一歳以上は前向きにしなければならないということではない。2〜3歳頃までは後向きでも構わない)。
その理由は次の通り。
1)乳児は3カ月頃まで首がすわらない。6カ月頃までは腰が安定しない。
2)後向けに座らせることにより、衝突(前方と側方の一部)のショックを体の大きな部分で受け止め、骨格の比較的強い部分、例えば腰、背中、肩全体に分散させる。
3)着座姿勢は、首と背中にかかる負担を避け、頭が前屈し気道が圧迫されるのを防ぎ、かつ衝突時に頭側(前方)に飛び出すことを避ける目的で、背もたれの角度を45°前後とする。
特に背もたれの角度は厳重に守るよう注意が喚起されている。
5.最後に
小児事故防護とチャイルドシートに関する欧米のガイドラインを参考にしたが、今後日本でも研究が進み、新しい安全基準が確立されるにつれて修正されていくであろう。
◎参考にした本
・小児内科 2000年4月号 子どもの健康支援シリーズ…小児科医のために
小児の事故防止 2.チャイルドシート着用の指導
京都、伊藤病院 伊藤將史先生著(こどもの安全ネットワーク・ジャパン)