1.まずはじめに
インフルエンザの時期到来を間近にひかえ、今年もインフルエンザワクチンの在庫がいろいろと問題となってきており、心配になっている方も多いでしょう。
今回、Special Programとして「インフルエンザを斬る」と題し、基本的知識をつけてもらおう、という目的でいろいろ書いていきたいと思っています。なお、この文章を作るのに使用した文献は一番最後に載せています。どれも小児科医が読むレベルの本です。
なおピンクの所は2002年1月に書き加えた部分です。
2.インフルエンザ
インフルエンザはインフルエンザウイルスによる病気で、インフルエンザは冬の期間に集団内、地域内で流行する。
学級閉鎖や休校を思い浮かべがちだが、実際にはその妹や弟の年齢層(4、5歳以下)が入院の中心である。
3.症状
のどのいがいが感、痛み、鼻汁、くしゃみ、空咳、頭痛、悪感(さむけ)、戦慄(ふるえ)、これらが1日あるいは2〜3時間前から認められるようになったと思う間もなく発熱する。その翌日には体温は最高となり、全身がだるく、フワーッとした感じになる。筋肉痛や関節痛も伴う。呼吸器の症状と全身の症状が一緒になって急激にでてくるのがインフルエンザの特徴です。
他に眼球の痛みや鼻血、嘔吐、腹痛、下痢を伴うこともある。
幼少児では、発熱と同時にけいれんをおこす割合が高い。熱の期間は4日間ぐらいだが、3日目ぐらいに一度熱が下がることがある。体調が完全に戻るには熱が下がって一週間は必要。通常、1週間から10日間で全快する。発熱が5日以上にわたるときは中耳炎、肺炎などの合併が考えられる。
4.合併症
気管支炎、肺炎、喘息発作や中耳炎などがある。
神経の合併症は熱性けいれん、脳症、Reye(ライ)症候群(:インフルエンザのときにバファリンは使うとこの病気になることがある!)、ギラン・バレー症候群などがあるが、特に急激な進行で致命的になる脳症には要注意。
5.子供のインフルエンザの特徴
@最高体温は成人と比べて高く、特に5歳以下のインフルエンザでは約10%に熱性けいれんを伴う。
A鼻汁、中耳炎、腹部症状をともなう例が成人に比べて多い。
B新生児(生後1ヶ月以内)が感染した場合、症状に乏しいため、原因不明の発熱として扱われることがある。
C仮性クループ(:症状は犬の鳴き声のような声)や細気管支炎の原因となる。
D神経症状(けいれんなど)の出現率が成人に比べて高い。
E筋炎や肺炎の合併率が高い。
6.診断
診断する器械があるが、まず時期が冬であること、周りに似たような症状の人がいることである。症状があれば、すぐ小児科を受診することが重要。
7.治療
合併症がなければ、症状に対する治療で回復する。例えば発熱に対して解熱剤(アスピリン、バファリンはだめ!!)、咳に対しては咳止め薬、といった治療を行う。→さらにインフルエンザの解熱剤としてポンタール・ボルタレンの使用を禁止されました!ご注意を。
一般的治療としては、清潔で緩やかな服装とし、安静を保つ。胸腹部の圧迫を避け、軽い寝具を用いる。室内環境は室温を20℃前後に保ち、湿度(60〜70%)を与え、適宜換気を行う。食事は口当たりと消化吸収のよい食物を与え、十分な水分を与える。フラボノイド、ビタミンCを多く含む緑茶、紅茶を薄めて与えるとよい。
合併症があれば、それに対する治療となるが、専門的になるので割愛。
8.予防
手洗い・うがいでどれだけ予防できるかははっきりしていない。現在もっとも有効なのはワクチンである。
9.インフルエンザワクチン
インフルエンザワクチンの効果がでるのに2週間〜1ヶ月かかる。また、防御効果は3〜4ヶ月。ということは12月から3月まで流行するので、流行前の11月、12月中に2回済ませるように計画する必要がある。
2回する意味は、1回では十分な免疫が得られなかったときに、もう1回追加することで免疫を確実に得ようとするため。
10.最近の話題
インフルエンザの治療薬アマンタジンが1998年11月より使用許可がでた。ただA型インフルエンザしか効かず、中枢神経の副作用があり、小児では重症でないときは使うべきではない。→現在2002年時点では小児でもインフルエンザが考えられた場合には使用しています。
今注目されているのはノイラミニダーゼ阻害薬という薬。A型だけでなくB型にも効き、副作用も少ない。残念ながら、まだ使用許可がでていないし、また高価である。→現在2002年時点では大人用は発売されています。小児用は来年になりそうです。
またワクチンも注射ではなく、鼻に噴霧するものも研究されている。本物のインフルエンザウイルスを弱くして、鼻に吹きかけ、軽い感染を起こさせることで免疫をつけようとする方法。(これはまだまだ先になりそう。)
11.最後に
簡単に説明したが、これでは不満という方にホームページを紹介。
『インフルエンザ対策』総合リンク集
他にも見つければ加えていこうと思います。
わからないこと、わかりにくかったところなどがあればメールでお知らせ下さい。それにお答えできるよう改良を加えていきたいと思います。また、新しいことがわかれば付け加えていきます。
◯参考にした本
小児科診療 1999年3月号
小児内科 1999年2月号
今日の小児治療指針第11版
からだの科学 2000年1月号
日本医事新報 No.3929
新・予防接種のすべて
○作成記録
1999年12月 作成
2002年1月 一部改訂