徒然なるままに


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1999年10月16日(土) バカ医者

 4〜5歳になってくると、“汚い言葉”を使うようになる。例えばバカ、アホ、うんこ、しっこなど。子供の一種の言葉遊びである。(親としては結構いや。)
 先日、ある4歳の子が入院。よく入院する子で、3回も私が主治医になった。その子も私に慣れたせいか、よく一緒に遊んだりしていた。ある日、その子が一言。
 「この、バカ医者!!」(ニコニコしながら)
 びっくりしたけれど、笑ってしまった。ツボをつかれた。ぜんぜん悪意がない。遊びたいのだな。「誰だ〜、そんなことを言う子は」といってわきをこちょこちょしてやった。「きゃっきゃっ」と喜んでいる。
 バカ医者、現在がんばってま〜す。


1999年10月12日(火) 病院は天国?

 「病院は天国。もっと入院していたい。」
 これは入院中の子供の付き添いで一緒に入院しているお母さんが口にする言葉。なぜ?
 自分の自由な時間ができる。だんなの世話をしなくてすむ。姑が…。などである。いろいろお母さんの話を聞くうちに、「先生、入院はのびませんか?」とまで聞かれることがある。
 そんなに家はいや?病院は天国?
 う〜ん、そうかも。


1999年10月10日(日) 新生児科皮膚炎

 新生児科皮膚炎。新生児がかかる皮膚炎ではない。新生児‘科’皮膚炎である。そんな病名はないのだが、新生児科で働いたことのある人は必ずと言っていいほど経験する。経験していないという人は、めちゃくちゃ皮膚が強い医者か、新生児科失格の医者である。
 新生児科では赤ちゃんをさわるとき、必ずブラシを使って石鹸で手を洗う。きたない手で触ると、感染してしまうからだ。赤ちゃんにおっぱいをあげるときも清潔にするよね。普通の赤ちゃんでも気をつけるのに、新生児科に入院している体が弱い赤ちゃんは当然のこと。赤ちゃんをさわるときに毎回手を洗うので、1日に少なくとも15回以上は手を洗う。これを毎日続けると…。
 私も一週間で肘の下は赤くなり、痛い!!(現在も痛いよ〜。)
 勇気のある方は毎日ブラシで腕を15回ぐらい洗ってみよう!!(忠告:責任はとりません。絶対やめた方がいいと思う。) 


1999年10月7日(木) 初めての抱っこ

 新生児科に配属されて、生まれて初めて赤ちゃんを抱っこした(少し前のことである)。
 自分は親ではないのに、抱っこするだけで泣きやむ。生まれて少し経った赤ちゃんはスマイルまでする。抱っこすると赤ちゃんの暖かさが伝わり、気持ちいい。とってもかわいい。一人目の赤ちゃんが産まれたら、もう1人欲しくなる、という気持ちがわかる。
 そして…………連れて帰りたくなる(危険!!)。
 女性がウエディングドレスを結婚前に着ると結婚できなくなる、と言われているが、自分の子供ができる前に赤ちゃんを抱っこすると子供ができない、なんてないだろうか?ないとは思うが、そんなことを考えると、「抱っこやめよう!」と思うことがある。でもすでに抱っこしてしまったし…。
 ええい!!いっぱい抱っこしてやる!


1999年10月3日(日) 嫁と姑

 小児科医は子供はもちろん、両親に対する対応も重要である。特に普段一緒にいることが多い母親の意見、情報はとても重要になってくる。その病気のキーになりうる母親も、全くキーにならない状況がある。
 姑がいるときだ。
 姑の目から「こどもが病気になったのはあなたのせい」と言わんばかりのアイビームが放たれている。一方、妻は姑に気兼ねして、あまり発言しようとしないのだ。
 一応、嫁と姑がいるときは嫁(母親)の情報を最重要とし、姑の意見はさらりと流すようにしている。
 姑が帰って、自分と子供の2人になったときの母親のリラックスした表情はなんかいい感じ。落ち着いた母親の顔に戻っている!
 姑、その存在自体恐るべし!!


1999年9月30日(木) 育児放棄

 育児放棄された患者が入院した。なぜか家庭に問題がある患者は、いつも自分が主治医になってしまう。
 ある期間入院して、今後のことが決まり次第、退院だな。そう思った。
 重症患者が並ぶNICU(新生児の集中治療室)に、その太った元気な赤ちゃんがいる。医者も看護婦もどうしても他の重症患者が気になり、その赤ちゃんはほったらかし気味。
 ところが、とある時期からミルクを吐くようになった。超音波で検査しても異常なし。なぜか?
 『愛情欠乏症候群』
 そんな診断はないのだが、あえて自分はこう診断した。「この嘔吐を治すには愛情しかない。」そう思った私は、時間が許す限り、抱っこしてあげて、ミルクを飲ませることにした。夕方から少し暇になるので、おんぶをして仕事をした。
 1年目の医者がNICUの重症患者を1人で見るなんて不可能。先輩先生の徹底指導、指示をうえて医療を行う。でも1年目の自分にも、先輩医者にはできないことがある。それを実行した。おんぶも恥ずかしくなかった。ミルクを飲ませるために抱っこしてあげると、ちょっとだけ笑うようになってきた。
 次第に嘔吐はなくなっていった。ちょっとは私の愛情がとどいたかな?
 乳児院に行くことが決定し、別れの時が来た。その日、忙しい日中であったが、最後のミルクを飲ませた。自分をじっとみてミルクを飲む。またほほえんだ。「あなたはこれからの人生で他の人が味あわないようないろいろ辛いことがあるだろうけど、がんばって。」なんて考えると、辛くなってきた。なぜ育児放棄なんてするんだ!!
 育児院の先生が来られた。おっきな籠にいれらてた彼は、自分を取り囲んでいる顔をきょろきょろと見ている。自分と目があった。すると目を離さないではないか。ミルクを飲むときと同じあの目で。
 少し時間があったので、もう一度抱っこした。涙が出てきた。また笑ったよ。辛いよ。苦しいよ。
 涙が止まらない。

 育児放棄。私は絶対許さない。いかなる理由があっても。 


1999年9月26日(日) オンコール

 我が新生児科には「オンコール」という制度があります。新生児科のスタッフの1人が当番をするのです。何の当番か?
 産婦人科から「生まれた赤ちゃんの状態がおかしいです。どうか見てくれませんか。」と電話が病院にはいる。すると看護婦からその日の当番に連絡が入る。その当番の人が産婦人科の先生と赤ちゃんの状態を聞いて、自分の病院で対応できるかを考え、引き受けるかどうかを決める。だめなときは他の病院を代わりに探す。これが「オンコール」です。
 我が新生児科では、オンコールの人が主治医になるということにしている。
 新生児科に来て、初っぱなからオンコール。しかも実際に3件の問い合わせがあり、2人入院になった。2人の主治医になった。
 大体、生まれて3日間がとっても大事なので、その間は寝ずの番である。それが2人となると…。これじゃあ家に帰れないよね。


1999年9月25日(土) 小児科医は万年風邪ひき

 小児科医になって健康なときがない。
 いつも風邪をひいていた。小児科医は風邪をひくとは聞いていたが、こんなにひくとは…。しかも症状にいろいろ違いがある。熱がでる風邪。のどが痛くなる風邪。現在は鼻汁がでる風邪をひいている。
 あの子にうつされたかな?なんて思ったりする。
 あの子にうつしちゃったかな?なんて思ったりもする。
 でも、免疫がついて、いつか風邪に強い医者に…。その前にぶっ倒れたりなんかして…。


1999年9月23日(木) 不幸な子

 ニュースで「最近の子供は親の影響で遅寝遅起き」ということを聞いていたが、医者になって本当にそう感じた。特に若い親の場合が多い。前に「子供の生活習慣病」でも書いたが、そういった生活習慣が、将来に影響する可能性がある。
 自分の思い通りには子供はならない。自分の生活に子供をあわせていくのはどうだろうか。
 「子供の人生もあるけど、私もしたいことがある」といった母親がいた。頭にきた。病気を治してあげようという気持ちが沈んだ(もちろんそれは一時的な感情)。その程度なら子供をつくるな。
 子供は親を選べない。その子が幸せな人生を送るか、不幸な人生を送るかの最初の分岐点はその親にあると思う。真剣に考える親に小児科医として手助けをしていきたいものだ。


1999年9月19日(日) さよなら講義

 先日、看護婦さんに「さよなら講義」をした。現在の病棟を去ることになったからだ。
 お題は『川崎病とミラクリッド』というものであった。原因不明で小児しかかからない病気「川崎病(日本人が発見!)」とミラクリッドという薬の関係について講義をした。まあ1年目の研修医がするので大した内容ではないが…。
 川崎病。病初期(急性期)のきつそうな子供の顔と親の心配そうな顔、安定期での元気な子供の笑顔と元気な我が子にすっかり疲れてしまった親の顔。似た顔と対称的な顔。
 「バファリンよ、γ−グロブリンよ、効いてくれ!」何度思ったことか。
 医者になって最初に担当した患者は川崎病患者。現在の病棟で最後に担当したのも川崎病。肺炎といった一般的な病気以外で一番たくさん担当したのも川崎病であった。医者になって最初の4ヶ月で20人近く川崎病患者の主治医になった(偶然である!)。
 川崎病。何か縁がある?


1999年9月18日(土) こどもの生活習慣病

 生活習慣病といえば、高血圧、糖尿病など大人の病気のような感じだが、こどもにも生活習慣病がある。
 もともと生活習慣病とは「成人病」と以前言われていたもので、生活習慣がその病気の発症、進行に関わる疾患のこと。現在、3歳ごろから始まると言われている。そのこどもの生活習慣とは運動不足、睡眠時間の短縮、少年期からの喫煙・飲酒・薬物乱用の傾向、ストレスの増大などである。これがいつの間にか体をむしばみ、成人期に、場合によっては小児期に病気が発症する。
 あなたの病気は小さな頃に…。またあなたの生活習慣に影響をうけた子供は大きくなって…。


1999年9月16日(木) 健康法つき血圧計?

 オムロンは、高血圧や糖尿病など「生活習慣病」で悩む人に対し、1人1人に適した健康法をアドバイスする事業を始めた。米国の大学などとネットワークをつくり、食事や喫煙などの状況を尋ねた問診票をもとに最適な健康法を提案する。高血圧では3億通り以上の健康法を用意する。
 アドバイス事業はまず高血圧を対象にし、オムロンが8月に発売したデジタル自動血圧計「健康達人」を買った人向けに始めた。血圧計の価格にサービス料約2000円が含まれる。商品には、運動、たばこ、食事など6項目の生活状況について尋ねる問診票がついており、回答をオムロンに送る。問診票は高血圧の研究が進んでいる米ミシガン大学にネットワークで伝えられ、食事のアドバイスや体重管理について1人1人に適したリポートが10日前後で送られてくる。
 オムロンは来年初めには、国内外の大学と提携して体脂肪計の販売と合わせた肥満の健康アドバイスも始めるほか、糖尿病についても同様のサービスを検討する。将来はインターネットを利用して血圧や血糖値などのデータをやり取りし、医師などが最適な健康法をアドバイスするネットワークづくりも目指す。オムロンは「生活習慣病は日常生活を見直すことで改善する部分が多く、今後、健康市場は広がっていく」としている。(15日朝日新聞より)


1999年9月15日(水) 出前はステータス?!

 出前はステータス。私はそう思う。
 学生時代、一度も出前はしなかった。お腹がすいたときも、「コンビニでいいや」と思って弁当を買って食べていた。ところが、医者になって、忙しくなってくると、コンビニの弁当ではなんかいやなのだ。「なかなか食事がとれない状況で、コンビニの弁当は…。ささやかなぜいたくを…」。学生の頃は、「出前なんてぜいたくだ!ぜいたくは敵!!」であった。今は「数少ない食事という楽しみをコンビニの弁当で終わらせたくない」である。500円の弁当から800円の弁当にレベルアップ。(エンゲル係数もアップ!!)
 ある意味、「出前はステータス」だと思う。学生から医者になって、ステータスがアップしたのでは…。ちなみに、上の先生がいる時は出前しにくい。やはりステータスか…。
 (ちなみに大学では学生の方が研修医よりステータスは上。教授>学生>他の先生>研修医である。)


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