つまづいても歩けば一応進んだことになる。

 

 

 

01/2/25(日) am 小ネタ

(その1)この間、久しぶりに純粋な娯楽ネットサーフを行った。

ネットサーフはやっぱり、MIDIを聴いて回るのが面白い。もうちょっとお金に余裕があったら立派な外付けスピーカーでも買って本格的に聴き回りたいくらいである。

よく知っている曲をいろいろとアレンジしたMIDI(例えば「ガヴォット」と「真っ赤だな」をミックスするとか、ショパン風「巨人の星」とか…)を紹介しているサイトを見つけ、笑い転げた。ガヴォットと真っ赤だなの融合に全く違和感がないのが不思議だ。(聴きたい方はこちら

その次に何でも邦楽にするサイト(いろんなナンバーの音色を琴や三味線や尺八や和太鼓の音色に変換するんだけど)へ行き、ひとしきり楽しむ(おすすめは「September」のアレンジ、「九月」。とても楽しい)。

そういえばtrfの「BOY MEETS GIRL」も、シングルの3番目にジャパニーズ・トラディショナル・リミックス・バージョン(長い)とか何とかいうバージョンが入っていて、祭囃子のように面白かったような気がする。

(その2)仙台ではまだ雪の降るこの寒い中、いきなりブーツが壊れた。

ファスナー部分の金具(「歯」のような部分)と布部分の接合部が破けて、ファスナーが上がらなくなったのである。どうやら、秋から冬にかけて酷使しすぎたのが原因らしい。

それにしてもこの時期にブーツに壊れられるのは困る。私の足のサイズは小さくて、普通の店で靴を探すのが本当に面倒なのだ。入荷すら危ぶまれるサイズの上、春物がどんどん入ってきてブーツなんてなかなか店に置かない時期となってしまっている。それなのに仙台はまだ雪が降る。降るだけではなく、積もる。

私は早速ブーツを携えて靴修理の店に行った。何と、片方で4500円もかかるという。その上、もう片方のファスナーも壊れかけで両方の修理が必要だという。さらに、修理に3週間もかかるらしい。それなら直す意味がない。冬が終わるから。

本当に困ってしまったのだが、仕方ないから根気よく新品を探すことにした。ブーツがなければ実家に帰ることすらままならないのだから(山形は3月まで雪が降る)。

(その3)ブーツが壊れ、修理は高いわ新品もないわ、私はとても落ち込んだ。あまりにも落ち込んだので、修理屋の入っていたデパートからの帰り、レンタルビデオを借りて帰ることにした。レンタルビデオなんて5年くらいしたことがないが、ちょうどツタヤの旧作一本無料券をこの間もらったばかりで、いつ何を借りようかとても楽しみにしていたのだ。

ツタヤの中に足を踏み入れて、私は急にわくわくしてきた。何を借りようか。借りられるのは1本だけ、注意深く選ばなくてはならない。

「滅多にレンタルビデオを借りない私が無料券を使ってあえて借りる1本」を選ぶのは、とても難しい。その1本の意味をどう位置づけるかが重要なのだ。いろいろ解釈できる。

  1. せっかくの無料券を無駄にしない。無難に、大好きな作品を借りる。
    (伊丹十三映画とか、チャップリンとか、チャイニーズ・ゴースト・ストーリーとか)
  2. せっかくの無料券だから冒険をする。普段絶対見ないような、タイトルだけでアレルギーを起こしそうなものに挑戦。
    (キャラメルを溶かして塗りたくったようなラブロマンスものとか、バイオレンスそのものが目的のアクション映画とか、見たらしばらくホルモン焼きが食べられなくなりそうなスプラッタとか)
  3. 上記の二案を折衷。ストーリー的にアレルギーを起こしそうな要素をはらみつつも、公開当初見たいなぁと思った映画をかりる。
    (「恋愛小説家」「ハムナプトラ」など)

そしてぐるぐる、1時間ほど膨大なビデオの海の中で借りる一本を選ぶために歩いた。何だか結婚相手を選んでいるようだった。

さしあたり1度しかできないというものでもないが、今はとりあえず1人としかできなくて、しかもその1本のために自分の時間が費やされる。1回目に失敗して2回目をやるときには、1回目の相手に費やした時間が経過して、そのぶん無駄になっている。

ああ。なんて難しいんだ!

ぐるぐる回って、たった1人の相手として選ばれたのはエディ・マーフィの「ドクター・ドリトル」。3の折衷案をとった。

もしかして、私は結婚相手もこんな風に、折衷案を取るのであろうか。意外とこんなところに、その人ならではの、そういうときのやり方が出るのはありそうなことだ。

「だとしたら、私と同じように無料券を一枚もらった時、他の人だったらどういうチョイスをするんだろう」と思いながらツタヤを出た。ぜひ聞いてみたい。

 


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01/2/22(木) am きれい好きのお隣さん

以前大変迷惑だった隣のフジタさんが越してかなり経った。実はフジタさんがいなくなって数ヶ月して、お隣には新しい人が越してきた。

以前のフジタさんは本当にひどかった。毎日のように彼女「ミカちゃん」を部屋に連れ込み、朝となく夜となく、まるまる5年にわたって"エンジョイ・淫蕩ライフ"っていう感じだった。電話で話している声すら聞こえるという殺人的に壁が薄いうちのマンションでそんな物音、どれだけ筒抜けだったかはおわかりいただけるだろう。

私は大学に入学しここに越してきたときからずっとその騒音に苦しんだ。思い返すと本当に涙が出る。あのての騒音は男性にとっては娯楽らしく、男性にこの悩みを話すと「ええっほんと?いいなぁ」的目の輝きで反応を返されることが多かったが、私にとっては苦痛以外のなにものでもなかった。耳から入る猛毒だ。

一度、私が友人を部屋に泊めた時、真夜中になかなか寝付けずにいた友人が例の騒音を聞いたという出来事があった。私はその時もうぐっすり眠っていたはずだったのだが、朝目覚めた後で友人に言われた。

「……○○(連打屋の本名)ちゃん、寝ながらうなされてたよ。苦しそうに寝返り何回もうってた」

私は夢の中まで苦しんでいた。何とかしてほしかった。でも苦情を言うにしてもこういう話題は難しい。まさか、

”前略フジタ様
 大変申し訳有りませんが、愛情確認行動に及ぶ場合はミカちゃんの口内にハンカチなどの布類をお詰めいただき、行為中もなるべく手などで口を被っていただければと思います。実行しながら異常な趣味とお感じになられるかもしれませんが、良識にのっとった行為ですからけして異常などとはお思いにならず、ぜひご遂行いただきたく存じます。 草々”

などというお手紙を隣のドアにはさんでおくわけにもいかなかった……

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話がそれた。そういうわけでいろいろ辛い思いをさせられたのだが、そのフジタさんもいなくなり、新しい人が引っ越してきたのだった。

今度の新しい人もやっぱり男子大学生らしいのだが、フジタさんとはだいぶ違う。

まず彼女がいない。これは本当に祝福すべきことだ。いるのかもしれないが、部屋には連れ込んでいない。そして何より、生活が規則正しい。

毎朝8時になると、「ピピピピピピピピ…」とお隣から目覚ましの音が聞こえてくる(もちろん私はその音を徹夜明けで聞く)。目覚ましはすぐに止まる。ああ、お隣はもう起きたんだな、と思いながら私はふとんにもぐりこむ。

すると、5分ほど経ってまた「ピピピ…」と聞こえてくる。今度はさっきよりも早く音が止まった。なるほど、さっきは二度寝して、今起きたのだろう。……ねぐせだらけの頭でふとんから這い出しているであろうお隣の姿を想像しながら、私は寝入ろうとする。

ところがまた、2分くらいして「ピピピ…!」という音が聞こえてくるのだ。

どうやらお隣は目覚ましと格闘しているらしい。私はその気配を壁越しの背後に感じながら、こんな朝っぱらに就寝しようとしている我とわが身を非常に情けなく思いつつ目を閉じる。ああ、これでいいのか。お隣のように若者らしく朝8時に目覚ましと格闘すべきではないのか。全く頭が下がる……

目覚ましは平日だけだが、休日にもこれと似たようないたたまれなさを壁越しに感じさせられることがある。

例によって夜更かしして眠り込んで迎えた午後1時、お隣から

「ガーーーーッ」

という音が聞こえてきて私は目を覚ます。何事かと思い耳を澄ますと、ガーガーという機械の音がする。お隣は掃除機をかけているようだった。

私が自堕落に惰眠をむさぼっている間にお隣は掃除である。私はまたどうしようもないいたたまれなさにかられた。ごめんなさい…と思いながらのろのろと起き出す。

そうだ、私のような人間がいるから日本の大学生はバカだって言われるのだ。お隣のようにちゃんと休日は掃除機くらいかけて、午前中のうちに洗濯などをしてしまう(ここは勝手な想像)のが普通の姿なのだ。ああ情けない。自分が情けない。

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というわけで、まあいい傾向だと思うのだが、お隣のおかげで私は毎日自分の生活態度を反省している。それだけでなく、日々の暮らし方もお隣に気を使うようになった。

今まではフジタさんだから、私がいくら夜中に音楽を聴いたりテレビを見たりして向こうに音が多少聞こえても、そのレベルをはるかに超える向こうからの騒音があったのでおあいこだった。だから遠慮なく夜更かしできたし、夜中に歌も歌えた(これはさすがによくないだろう…)。それにフジタさんも夜型の人間だったことは間違いない。

ところが今、お隣に住んでいるのは紛れもなく朝型の人物である。しかも毎朝8時起きで目覚ましと格闘し、休日に掃除機をかけるような規則正しい人である。こういう人に迷惑をかけたら、私はきっと地獄に堕ちるだろう。

そう思ったので、私は今極力夜中の暮らしに気をつけている。夜中はテレビやCDコンポのボリュームに気を配るようにした。

その上、毎日自分を情けないと思っていたので、今日は食材を買ってきて自炊をし、本棚の整理と洗濯をして部屋中に掃除機をかけた。おかげで部屋はきれいさっぱり、普段滅多に洗わなかった膝掛けからソフランのにおいがする。私も、やればできる。

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ああでも、それにしても、うちのマンションの壁はやっぱり薄すぎるのかもしれない。

01/2/9(金) pm 近況報告
そんなに時間が経った感じもしないのに、もう前の更新から一週間あまり経っている。

私の生活といえば特に変化もなく、ただ就職活動関連で忙しくなっているというだけである。最近はウェブで情報がたくさん供給されているから、東北在住であるというハンデは今のところあまり感じない。

しかし、自分が働く会社くらいこの目で一度見ておきたいというのが正直な気持ちなのに、本社が東京にあったりするとそうそう気軽に見に行くことができないという点では、今後やはりどうしようもないハンデであろう。

自己分析と筆記試験対策と企業研究、毎日毎日の就職情報サイトチェック、そんなもので私の夜の大事な時間はどんどんなくなってしまう。かといってニュースくらい見たいし好きなテレビも見ておきたい。

テレホになるまで自由に過ごし、テレホになったら就職サイトを見て、エントリーシートを書いて、送って、あとは疲れ切ってぐったり眠り、起きたらそのままバイトというパターンが続いている。

何だかもうめんどくさいから、絞り込みなんかせずに適当に一括エントリーして手当たり次第に面接受けたらいいかな、などとも思ってみるが、そしたらそのぶん東京に行かなきゃいけなくなるわけで、そんな力業が使えるほど東京−仙台間は近くない。

困ったので就職活動経験者の後輩に尋ねてみたところ、後輩はバスを使って通ったそうだ。遠隔地在住者の就職活動はまず体力が基本ということらしい。

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それにしても就職サイトが花盛りという今のご時世は便利であるが、サイトごとに登録されている企業がバラバラというのはどうにかならないものだろうか、と思う。

リクナビであまり登録のない業種がメガジョブで強かったり、じゃああとないかななんてポラリスに行ってみるとあったりなんかする。それ以外にも東北特化の探職ナビだとか、山形新聞が作ってる就職サイトだとか、もう限りがない。そんなの回ってるだけでテレホはあっという間である。

就職活動を始めると毎日のネットサーフの行き先に全く困らないということに気づいた。

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こういうときに限ってバイトも学校も気が急くことばかりだったりする。

塾の方はだいぶセーブしているのと大学受験が一段落してしまったこともあって(うちは成績の悪い子が多いので国公立はまず受けないのだ。私立が終るとそれでほとんどの子が受験シーズンを終える)あまり仕事がない。主にウェブ制作のほうである。

結構な頻度でバイトに行っているので、タイピングが心なしかまた速くなったような気がする。こちらのバイトは楽しくて楽しくて仕方ないのだが、いろいろあってこれだけに専念できないのが辛い。でも就職活動ややがて来る修論執筆のための軍資金にしていくつもりなのでできるだけ頑張って稼ぐ。

学校の用事は休みにかこつけて半分冷凍してしまっているようなものだが、調べなくてはいけないことが山積みな課題がひとつあり、その解決を遅くとも3月いっぱいでしなくてはならない。とても便利な古本屋サイトがあって、そこを通じていくつか本を買った。でも読むヒマがなくて困っている。他にも調べることがたっぷりあるのに。

とにかく資料や作品の量が多い(きっとこの点に関しては日本一)作家を選ぶとこうなる。おそらくこの作家の場合、カネもヒマももてあまして就職なんてしなくてもよく、永遠に親のすねをかじっていられる人が腰を据えて80年くらいやらなきゃ謎なんて解けやしない。(そういえばうちの教授がその昔温泉旅館にこもって修論を書いたらしい、という嘘か本当かわからない話があるが、真実はどうあれそのくらい余裕があった方が落ち着いて研究できる分野ではあるのだろう。)

作家本人が腰を据えて20代から死ぬまで毎日毎日、明け方近くに床に入ると世界がぐるぐる回って感じられるほど頑張って書き続けたものをやるんだから、研究する側だってそのくらいでなきゃいけないのだ。4年や5年でどうなるものでもない。

だからものすごい結果を出そうとか大それたことを思ってはいないが、せめて自分が納得行くようなものくらいは残して7年の長きにわたったモラトリアム・ライフに終止符を打ちたい。そして私は本当に心から自分でお金を稼げる生活をしたいのだ。

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そんなサバイバルで切実で、のどから手が生えてくるんじゃないかというくらいの活動なのに、やってることはネットサーフとEメール送信ってそんなことでいいのか?という疑問がわき起こる。

本当なら私は「頼もーう!」といきなり企業に押し掛けて、「何でもいいから月給××万円でやとって、稼がせてください! 年くってる分いろいろ達観してるんでそこらの男性社員より使えますよ」と頼みたい気持ちなのに。ああ、これが悲しきIT革命?

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ただの近況報告になってしまいました。

01/2/1(木) pm ストレスで人は死ぬ

ことの始まりはある日のバイトだった。

バイト先の同僚がひどい風邪をひいていて、おまけに高熱の出ている状態で仕事をしていた。そしてその日、私がバイトを終えて家に帰ると右耳の調子がおかしくなったのである。

次の日、起きてみると耳の調子は相変わらずおかしい。何だか耳の奥に何かがつまったような、重たいような、聞こえにくいような感じがする。おまけに何だか体調が悪くて私は数時間休養を取り、そのあとで友人との約束があったので友人宅に行った。

友人宅に行って右耳の調子がおかしいと言ったら、近くの耳鼻科の医院を紹介してくれた。たぶん中耳炎だろうと思って翌日行ってみたが、診断して特に悪いところはなく、聴力も正常レベルという結果が出た。医師は「耳の帯状ヘルペスか、アレルギーの疑いがあります」と言ったが、はっきりした診断はなかった。

アレルギー。そしてヘルペス。聞きたくない言葉を一気に浴びせられて、私は本当にびっくりした。診察が終わったときにはぽかんとしていてよくわからなかったが、家に帰ってよく考えてみると、ヘルペスウイルスが目に入ると失明すると聞いたことがあるし、うちの父はアレルギーのせいで夜中に時々ぜんそくの発作を起こす。

こわいな……と思いつつも、翌日はゆっくり休息をとり、夜になって友達にファックスを送ってみた。耳の調子が変だと書いたら、「最近、ストレスで耳が聞こえなくなったり耳鳴りがしたりする病気があるらしい」という返事が返ってきた。

そういう病気は私も聞いたことがある。突発性難聴である。以前偶然ネットサーフしていて知った病気だ。これになると、一週間以内に治療しなければ完治が難しいという恐ろしい病だ。ネットサーフしてみたら、普通はめまいや耳鳴りを伴うが、そういうケースだけではなく単に聴力の低下をもたらすだけの突発性難聴もあるらしい。

私の症状は、特にめまいや耳鳴りはないものの、やはり右耳は重たいような感じがして少し聞こえにくいように感じる。正常レベルの聴力とはいえ、もしかしたら私は突発性難聴ではないのか。そう思ったら心配でたまらなくなってきた。

とりあえず母に電話をかけてみた。もし突発性難聴だった場合、すでに病気が出てから数日経っているから完治しない場合も考えなくてはならない。聴力障害者となったら満足な就職は見込めないかも知れないし、それ以前に治療のためバイトを休んで入院および通院なんて自力ではとてもできない。

私は本当に怖くなってきた。電話に出た母は、「突発性難聴かも…」と私が言うと、「それ、めまいはする? 耳鳴りは? とにかく安静にしないといけないから、もしそうだって言われたらこっちに帰ってきなさい」と即座に言った。

あな、おそろしや。私はだんだん体がふるえてきた。必死で気を紛らわせるもののどうにもならない。久しぶりに「笑う犬の冒険」を見たのに全然笑えない。

こうなったら後ろを安心にしておかねば、と思って、入院になったら確実にお世話になるであろう古くからの友人に電話をかけてみた。「とにかく、病院が終わったらすぐに連絡してね」と励まされる。

ああ、私は一体何の病気なのであろうか。もしかしたら医者が言ったとおりヘルペスか。それともアレルギーか。はたまた突発性難聴か。突発性難聴について調べてみたら、「ウイルス性という説もある」などと書いてあり、「ウイルスって言えばヘルペスじゃんか」と思ったりもしてますます不安になる。突発性難聴とヘルペスの合わせ技だったらどうしよう。

何というかもう本格的に不安になってきた。体中の血が逆流するようだ。とにかく安静、と思ってふとんに入るが、全然眠れない。いろんな思いが頭の中を駆けめぐる。

(まあ確かに、3週間くらい入院になったら心も体も休められて非常にいいだろう。最近働き過ぎだったよ。どうせローンは去年末で全部払い終わったから特にバイトの必要もないし、大学生協で加入してた共済の保険も下りるか…1日1000円だっけ…ああだけど今時期私が入院なんかしたら、弟の大学受験と祖父の葬式関連で疲れがたまってる両親にさらに苦痛がくるだろうなぁ…いいのかなあ、葬式で私はがんばったし多少は許してもらえるだろうか。でもそのうちじーちゃんの49日だから…いや、それより私の就職はどうなるんだろう、この時期3週間も何もできなかったらもう終わりだ…履歴書に突発性難聴になったなんて書かなきゃいけないのかな…まあどうせアレルギーになったりするような奴だからもともとハードな職場は向かなかったんだろう、自己分析が不十分だったんだよね…。聴力が戻らなかったら実家で家事手伝いかな……嫌だけどしょうがない…。でもとにかく、就職がどうなっても仕方ないから聴力だけは戻ってくれ…ステレオのCDがモノラルになるのだけは耐えられない!)

明け方までふとんの中でひとりぐるぐる考えていたら、だんだん目がしぱしぱしてきた。しまいには息まで苦しくなってきた。咳が出る。息ができないような感じがしてきた。目はものすごくしぱしぱする。ああ、きっとアレルギーなんだ。私もぜんそくなんだ。そして原因はたぶんハウスダストで…ああ、じいちゃん、あなたはよくこんな病気の不安に耐えたよ…私は無理だ、戦後生まれだから…

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不安で気が狂いそうになりながら、私は6時に起きて朝一番に大きな病院の耳鼻科に行った。もちろん、最初に行った小さな医院とは違って、国家公務員御用達で予約制という、設備の整ったきれいな病院である。

私は見るからにエリートで信頼のおけそうな医師に、自分の不安とこれまでの一部始終をくまなく話し、聴力検査のフルコースを受けた。

結果。以下は医師と私とのやりとり。

医師「まず聴力検査の結果ですが……よすぎるのね。本当に聞こえてるのか?っていうくらい、耳はよく聞こえてます。普通のレベルよりはるかにいい。見る限り、ヘルペスの症状はありません。ヘルペスという言葉は忘れてください。そうなると、どうして耳の違和感があるかということなんですが……痛みはありますか? どういう違和感ですか」

私「えーと、なんて言うか、右耳は、自動車に乗って山に登っていったときの耳の違和感が、あくびなんかをしてもすっきり取れないときの感じなんです。前も疲れてなるときがあったんですが、その時は寝れば治ってまして、今回のように長引くのは初めてで」

医師「で、左耳は?」

私「左耳はすっきり」

医師「そうなると、耳の圧力調節の調子が、右耳で少し調子悪くなってるんですね。(以下耳の圧力調節についての説明)」

私「それは何か深刻な病気ですか」

医師「(首を大きくゆっくり横に振る)これは風邪で起こり得ますし、風邪で調子の悪さが長引くこともあります」

私「風邪のせいなんですか。ということは、この咳もただの風邪ですか」

医師「はい。だからちょっと様子を見てれば、風邪と一緒に治っていくと思いますよ。前はすぐに治っていたんですから」

私「よかった……あの、突発性難聴じゃないかって言われて心配していたんです」

医師「それは一体、誰が言ったんですか」

私「えーと、友達や家族が…」

医師「(呆れたようにため息)あなたの周りには、とにかくマイナスの情報ばかりもたらす人たちが集まっていたわけですね。まあ心配しないで、安心してください」

結果はただの風邪。私はどうやら、自分の思いこみで呼吸困難にまで至ってしまったらしかった。まったくばかげている。自分の思いこみの激しさを実感する出来事であった。

ちなみに耳だが、今はもうすっかりいい。病院行って2日もしたらよくなった。

病そのものより、病に伴うストレスの方が人間の体をむしばむ。あの日の息苦しさを私はずっと忘れないだろう。

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そんなこんなで、日記に2週間以上も間が空いてしまったのであった。

 


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