| 実は5日分更新されています。3月のラスト2つをお読みになった後、このウインドウを下にスクロールして前の分からお読み下さい。
---- 社会人になって、新たな組織に入るにあたり、私はいくつかの戒律を自らに課すことにした。
1.派閥抗争に巻き込まれないこと 2.早いうちから知りすぎないこと 3.社内恋愛は最後の手段ということで
大笑いする方もあろうかと思うが、全ては私の今までの経験から得たことである。どれも手を出すと、異常に辛い羽目に陥るので注意が必要だ。
ということで入社1週間目。
早くも戒律を1つ破った。
---- 私が戒律3を破ったら面白かったのだろうが、残念ながら3番ではない。私がそんなに簡単に3の戒律を破れる人間ではないことを、友人はじめ皆様もご存じのことと思う。3を破るということは、それは世界の終わりを意味する(極端)。
実は私が破ってしまったのは1番である。破ったというか、正確には破りかけている。派閥抗争1歩手前の所に板挟みではまってしまった。
研修中で何が派閥抗争かと思うだろうが、それがあるのだ。研修には全国から新入社員が集められており、私が所属する研修班の中で地域対立が起こりかけている。
研修のプログラムの中で、班でのプレゼンがある。うちの班は全員で6人。
リーダーは大変強いキャラクターの大阪人の男の子で、まるで織田信長みたいなタイプ。いいことはいい、悪いことは悪いとはっきり言う。その補佐としてプレゼン資料を作っているのは京大出身で弁が立ち、人の意見を聞き入れない傾向も多少ある同じく関西系の男の子。
一方、私を除くその他3人は、いずれも生粋の東京人の男の子である。私はたったひとりの東北人で、しかも女ということで、東対西の対立からは外れている。
東京の男の子たちはみんな育ちがいいのか、2人の関西系の男の子たちに気圧されてしまい、日和見的な態度でプランニングではあまり発言がなかった。そのことがリーダーたち関西組のカンにさわってしまい、昨日の飲み会でそれを思いっきりぶちまけられてしまったのである。
ちなみにプレゼンの班と昨日の飲み会のメンバーは完全には一致しておらず、いたのはリーダーと私と東京出身の男の子ひとりだった。
実はプレゼンで発表することになった案は私が発案者で、いろいろとしゃべったので私はリーダーの考えでは彼らの側にいることになっているらしい。飲み会のメンバーには私たち3人の他に別なメンバーも混じっていたのではじめはそんな話にならなかったのだが、2時間くらい飲んだ時点で(たぶん元々ぶちまける気だったのだ)一気に「他の3人が全然積極的じゃなかった!」とリーダーが言い始めてしまった。
この信長君は、私より1つ年下なのだが、妙に侠気と強さがあって、非常にリーダー向きな性格を持った人物である。話し合いの進行は彼が一生懸命やってきてくれたのだが、プレゼンに関しては、発表者を今まであまり発言しなかった人たちにやって欲しい、と言うのだった。
これは、実際の話し合いの時に一生懸命やる信長君の姿を見て「結構辛そうな感じがする…」と思った私からすれば、やっぱり出てきたかという感じだった。不公平だという気持ちはよくわかるし、たぶんこれは、「俺はいっぱいいっぱいなんだ!」という表明で、要するに助けてくれということなんだろうと私は聞いた。
だが、言い方からすると上の立場から積極的な人とそうでない人をはっきりと独断で区切ってしまっているわけで、これは意味の見えない人にとっては相当カチンと来るだろう。案の定、東京出身者で「積極的でなかった奴」とされてしまった男の子がヒートアップして、その時に言えなかったことをこれまた一気に言い始めて、止まらなくなってしまった。
私としてはこちらの言い分もよくわかって、つまり頭ごなし(に聞こえるっていうことなんだけど)なリーダーと、他人の意見を聞かない(言い負かせばいいんだけど)京大君とに気圧され、言う気がなくなってしまったということだった。それで他の役割を探してサポートする方に回ろうとしたというわけである。
二人の議論は止まらない。っていうか東京出身の男の子の勢いが止まらない。最後にはプレゼン直前の話し合いでプランそのものをひっくり返しそうな話まで飛びだす始末。
私は多少予想してはいたが、予想以上の激しさにびっくりしてしまった。東京出身の男の子は、リーダーや京大君の態度が非常に強硬で独善的に見え、もっと自分たちの意見を聞くべきだということを言った。しかしリーダーは、俺たちはちゃんと聞いたはずだ、言わなかったのはそっちだ、と言う。
私は板挟みである。
要するにこれはたぶん、コミュニケーション法が違うという問題に帰するんだろう。普通の人より自己主張が強いと思われる彼らだが、意見を言う時、これは関西のペースなのか、あまり歯に衣着せるということがない。思ったことをずばっと言う。当然、相手にもそれを求める。
リーダーは異常に滑舌がいい大阪弁で、京大君はやや方言は柔らかいものの、その分が理詰め。彼らの関西弁や論理の強さに東京の人たちはすっかりおびえてしまって、それと戦ってまで自己主張しようとするのをやめてしまう。たぶん今まで、人と争ってまで何かを主張するような必要性がなく、そういうことに不慣れなのに違いない。
私は東北出身で育ちも悪いので、リーダーの強烈なペースに戦いを挑むのはむしろ面白い。少なくとも、面と向かっているときは微笑んでいながら、目の前から相手が居なくなるとひどい言葉で相手をさげすむような人より、見ていて軽く1000倍は好感が持てる。人格攻撃をしない限り、別にいくら議論してもいいはずだ。こんな面白いことができるなんて、研修やっててよかったとつくづく思う瞬間である。
だがこれが楽しいと思うのは私だけのようで、他の東京出身の人たちはこのペースにみんな思いきりおびえている。意見があったんならもっと主張してろよと大阪人のリーダーは言い、お前達がもっと聞きいれろよと東京人の男の子は言う。もう本当に異文化コミュニケーションの問題で、東北出身で戦うの大好きな私はひとり蚊帳の外で面白くて仕方ない。
だがただ面白がっていても仕方ない。結局こういう亀裂はチーム全体に響くので、両方の気持ちがわかっている私が橋渡しをしないことにはうまくいかない。リーダーの気持ちをくみ取りつつ、へこみ方の大きい東京人の男の子のフォローに回らなければならない羽目に陥った。これがもう本当に気を遣う作業。思った通り、異常に大変なことになってしまった。
それにしても、信頼しあいながら戦うっていうのは何と楽しいんだろう。基本的に相手に対する絶え間ない不審を持ちながらも和合するばかりだった研究室は、やっぱり私には合わなかったのだ。たぶんこんなことは研修の間だけだろうが、楽しくて仕方ない異文化コミュニケーションを満喫したい。
あんまり東京メンバーの評判はよくないようだが、私は強いリーダーっていうのは割と好きだ。もうこれは病気みたいなもので、意志決定の早いリーダーの下で自分はただ仕事に没頭すればいいだけ、という状態が私は大好きである。私を機械にしてくれる上司が私の望む理想の上司像。
ということで、プレゼンは明日。午前中に多少打ち合わせて、後はもう本番だ。打ち合わせで一体どうなることやら、楽しみで仕方ない。
それでは皆さん、おやすみなさい。
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