今日のは長いです。覚悟してお読み下さい。
【連打屋、頭ガンガン】金曜に人事の発表があり、私の部署は大幅に編成が変わることになった。
ちなみに先日お話ししたとおり、教育係のスウェーデン先輩は全然違うチームに移り、全く違う仕事をすることになった。部屋は一緒なのだが、たぶん今後話す機会は激減することだろう。
ということで、私は頼りになる教育係がいなくなってしまい、不安で頭がガンガンして仕方なかった。同期のトミーもバード君も現状維持で教育係の先輩と一緒のチームにいるというのに、こんなの私だけだ。この間のようなパニック状態よりはマシだが、一週間前からわかってはいても正式発表されると改めてショックでやや呆然。
【アメリ先輩、優しく】次の教育係が決まるのか、それとも誰もいないまま放置されるのか非常に心配だった。あまりに心配なので、スウェーデン先輩の同期で先輩と仲の良いアメリ先輩(女性)にたずねてみた。
アメリ先輩は背が高くて髪が長く、きれいな感じの先輩で、細かいことまできちんとしており控えめで優しい。雰囲気的にはアップル先輩に近いが、アップル先輩よりかわいい物好きなところが少し違う。
私「アメリ先輩、私は一体どうなっちゃうんでしょうか。もうスウェーデン先輩いないし」 アメリ先輩「そうだよね、それ、誰かに聞いてみなよ」 私「やっぱりそうですよね……聞くならやっぱりゼブラ係長かなぁ」 アメリ先輩「そうだね、それがいいよ。ちょっとつっついてみなよ」
【ゼブラ係長、あっさり】ゼブラ係長は30代半ば、女性総合職第1号の年次に入社したバリバリキャリアウーマンである。既婚でお子さんがおり、夫は別部署の課長。それでも見事に家庭と仕事を両立させている。
今はだいぶ体型に貫禄が出てきてしまっているが、それでも服は私よりずっと新しめのテイスト。顔立ちがくっきりしていて、若くて痩せていた頃はずいぶんな美人だったろうと思う。私のような仕事一辺倒になりそうな人間としては、目標とすべき存在である。
私「あのう、係長。私の次の教育係はどなたなんでしょうか? 誰もいないんでしょうか、それともスウェーデン先輩のままとか?」 ゼブラ係長「ああそっか、そうね。ワセダ君にいっとかないとね」
私の次の教育係はワセダ先輩(男性)にあっさり決定。
【ワセダ先輩、戸惑う】ワセダ先輩はスウェーデン先輩とは同期で仲がよい。スウェーデン先輩が抜けてしまった分を、ワセダ先輩が埋める感じの編成になった。ワセダ先輩も今まで厳密には違うチームでやや違う仕事をしていたので戸惑い気味。
早速、スウェーデン先輩と私で対応していた仕事の打ち合わせにワセダ先輩が入って引き継ぐ。頭を回すより先に体を動かし、力業・ハッタリ・努力がモットーの武闘派スウェーデン先輩とは全く対照的なタイプで、ノリより先に頭を回す雄弁な頭脳派。新しもの好きで「日経TRENDY」をよく読んでいる。
ワセダ先輩には以前同期のトミー(東大卒)が一時的についていたことがあって、足を動かす前に頭を動かすタイプのトミーはとても性格が合うから嬉しいとよく言っていた。ちなみに、トミーと私はワセダ先輩とスウェーデン先輩のようなもので、全く対照的。ということは、私とワセダ先輩は全く反対なのだろう。それは間違いない。
ワセダ先輩と私の共通点はど田舎出身ということくらいだ(まあ、これは大きい)。ワセダ先輩は私が都会に衝撃を受けるたびに、「これだから東京もんはやだよなぁ、連打屋」と決まって私に言う。自分と同程度の田舎出身者が来たのが嬉しかったらしい。
【アップル先輩、思いやる】これまでスウェーデン先輩と私とアップル先輩のチームで2ヶ月ばかりやってきた仕事からスウェーデン先輩が抜けてしまうことになり、事実上最後の打ち合わせをやった。
アップル先輩がスウェーデン先輩から担当を引き継ぐことになり、先輩が持っていた資料は私が全部もらうことになった。バーティカルファイルにとんでもなくたっぷり挟み込まれてあふれんばかりの量だったが、とりあえずもらった。
私「あのう、他の資料も本もできる限り下さい」 スウェーデン先輩「本までやるかよ! あと、資料は前やった仕事のをたまに読み返したりするんだよこれでも」 私「あ、そうですか」 スウェーデン先輩「まあ、何かあったらお助けマンやるし、聞きに来ればいいよ」 私「はい」
どさっと預けられた資料を前に私が今後の事を考え、スウェーデン先輩が遠い目をした時、向かいに座っていたアップル先輩がこう言った。
アップル先輩「私、席はずしたほうがいいですか?」
いえいえ、そんなことはしなくていいです。……でもよほど暗い雰囲気だったらしい。
【スウェーデン先輩、頭を抱える】来月からの変化に私は頭がガンガンしたが、それは新しい仕事に移るスウェーデン先輩も同様らしい。
新しいチームのミーティングに参加したあとデスクに戻ってきて、「ダメだ、わかんねぇよ」と言ってしばらく呆然としていた。
私「わかんないっていうのは、言葉とか? 今後のことですか?」 スウェーデン先輩「言葉レベルからしてわかんないし、この先どうなんのかもわかんねー。俺やっていけるんかなぁ」 私「そうですか…」 スウェーデン先輩「あー、これからはzakzak見てた時間全部勉強だな」
頭を抱える先輩。冗談と思われるかもしれないが、ヒマさえあればzakzakのチェックをしている先輩にとって、zakzak断ちとはすごいことなのだ(普通はそもそも勤務時間中にそんなもの見ないが)。
【教育係引き継ぎ】残業時間のまっただ中に、ワセダ先輩とスウェーデン先輩と私の3人で仕事の打ち合わせを行った。
私「さっきゼブラ係長にお聞きしたら、私の教育係はワセダ先輩になるっぽいです。どうぞよろしくお願いします」 ワセダ先輩「そうか。俺もいろいろ考えないといけなくってなあ」 スウェーデン先輩「連打屋、お前素直だから、気をつけないといろんな奴からガンガン仕事振られるぞ」 私「そうですか?」 スウェーデン先輩「そうそう。お前は仕事振りやすい。ヘタするとどんどん降ってきて大変になっちまうぞ。まあその辺は、ワセダが考えてくれるだろうけどな。何やりたいかしっかり自分で考えて、自分を持って仕事しねぇとダメだぞ」
ワセダ先輩「連打屋さぁ、たぶんこれから俺の下ってことで、俺の持ってる案件寄りの仕事になるよ。実は俺、アメリからも引き継ぐ仕事あったりするし」
私の心中は穏やかでない。2人の教育係を持つということは、2人が関わった仕事の両方をこなさないといけないので、たぶん私はバード君やトミーより量が多くなる。
トミーはフラワー先輩ひとりにはりついているから、種類的にも1つだけだが、私は2種類の仕事を倍の量でこなすわけである。ちなみに、スウェーデン先輩の引き継ぎ活動が始まってからここ1週間ばかり、毎日10時すぎまで残業している。この日なんて早朝出勤もして、夜も残業していた。すごい私。
ワセダ先輩はクールな仕事をたくさんやっているようなので、中身としては楽しみなのだが、それについていく時に私の体力がもつのか心配だ。
ワセダ先輩「スウェーデンは連打屋に今までどんな感じで教えてた?」 スウェーデン先輩「細かく考えるやつはアメリに入門させて、能率良く作業する感じのはアップルがうまいからそっちで教えてもらう感じだったな。ま、お前はいろんなやつに聞き回ってるのが合ってるよ」
確かに、私はいろんな人に聞いて回る方が盗むものが多いから極力そうしている。こういうのは人と接するのが好きな私の方が得意な芸当で、同期でも人見知りなトミーはあまりやらない。
【遺言?】
スウェーデン先輩「お前はもうちょっとセクシー感を出していかないとな」 私「はい?」 スウェーデン先輩「はい?じゃねえよ。セクシー感だよ、セクシー感。大事だぞ! アップルだって、入社した時から俺がうるさく言ってきたから今あんなにセクシーなんだ」
滅茶苦茶な理屈だ。アップル先輩は確かに美人だが、その90パーセントは持って生まれたスタイルと美貌。私は逆立ちしても真似できないのに、「セクシー」という美感と語感が大好きなスウェーデン先輩はいつもこればっかり言う(ちなみに、この間仕事で作ったエクセルファイルの書き込みパスワードも「セクシー」)。
セクシーなどという単語とはほど遠い私のキャラクターをわかっていて言うのをやめないということは、とりあえず社交辞令として言っているというだけかもしれない。どちらにしろ、私はそんなふうになるのは無理だ。
私「私は別にセクシーじゃなくていいです。もともと無理ですし。おばあちゃんに好かれる今のニッチ路線で行きます」 スウェーデン先輩「それじゃダメだっつうんだよ。今まだ26だろ。ばあさんになってもできることを今やんなくてもいいんだよ」 ワセダ先輩「そうそう。連打屋、ばあさんになったらへそは出せないぞ、へそは」 スウェーデン先輩「コンサルやってやるよ、コンサル。セクシーコンサル」
今後教育係になるワセダ先輩がうなずいているのが恐ろしかった。私は一体どうなっていくのだろうか。
まあでも、「エロい」=「cool」の読みかえが必要なスウェーデン先輩語なので、きっと「セクシー」とは「一人前」とかそういう意味だろう。
「お前はもっとセクシー感を出せ。セクシーコンサルは引き受けた」というのが最後のアドバイスっていうのはどうかと思う。
……まあとりあえず、一人前になるために頑張ろう。
|