うすうす気づいてました、そのことに。

 

 

 

03/8/24(日) pm 誰にも負けない
最近、仕事のモチベーションが上がって困っている。

どうやら、こないだ手相見に「仕事運が抜群にいい」と言われたのがきいているらしい。私はたぶん、一生懸命やりさえすれば普通に仕事ができるようになるのだ。

そう思ったら早く成長したくなって、信じられないくらい前向きに、毎日機械のように仕事をしている。

ワセダ先輩の保護のもとを離れたので、乱暴に投げつけられる仕事とか、完全に自分の自由に任されている仕事が増えた。そういうガリガリした感じが、どうも私はたまらなく好きらしい。

周りの先輩にいろいろ教育してもらえるおかげで、一人だけでもできる能力が一応ついてきたというのも大きい。あとは荒波にもまれるだけだ。

自分では、秘書のような役目でやっているのが向いているのだろうと思っていたが、それだけでもないらしい。私はやっぱりあの手相見が言っていたとおり激しい二面性を持っていて、慎重に地道にやる部分と、大胆に勝負に出る部分とがあるのだろう。だから、一人で仕事をする方が向いているのかもしれない。

私の中で入社以来考えているのは「4年目デビュー」。3年間は地道な下積みに時を費やす。そこでスキルを吸収して、4年目から本格的な勝負活動をはじめるつもりなのである。

入社4年目に、私はちょうど30歳になる。コムスメのキャラクターをすっぱり捨てなければならない時期にどうありたいか、自分に問わなければと思う。

隣の席のスタージュエリー先輩は30歳。まだ間があるように思える彼女の年齢に、私ももうすぐなるのだから。

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3日前、職場の仲のいいメンバーで飲んだ。ちょうど参加していたバブル期入社のカラサワ主任が、

「仕事なんて自己実現の一端でしかない。常に外から見る視点で、自分の価値とスキルを測った方がいい。いつクビになるかもわからない。それに仕事より大事なものもほかにあるんだから」

…と、言っていた。私はそれを聞きながら、

(そんなこと、就職活動前にもうわかってなきゃいけないことなんじゃないの?)

と首をかしげていた。

どうやらバブル期入社組というのは、就職に苦労しない分、自分の人生と仕事について一生懸命考えることのないままに会社人生に入ってしまうらしい。自分の道がいくつにも分岐する不安定なもの、というイメージももてないままに社会人生活に入る。

カラサワ主任はおそらくバブル崩壊後、嫌というほどこんな基本的なことが身にしみたのに違いない。わざわざ聞かなくても、私はもうそれを大学院生の時に知っている。

不遇であったということは、たぶん悪くないことなのだろう、とカラサワ主任の話を聞きながら考えた。

自分が今後、どうなるかわからない。いきなり放り出される可能性もあるし、病気になる可能性もある。このスキルがどれほど通用するのかを測れば、それが大学で学んだ文学くらい危ういものだということもよく知っている。

そのことをよくわかった上で、それでも今の仕事が好きだと思えるのなら、それは仕方がないんだから一生懸命やるのが一番なのだ。

多くは望まない。ネガティブな面から目をそらさない。その上で仕事を前向きにやっていたいと思う。どんな仕事も、自分が得られるものがあるようにやり方を工夫しようというのが私の方針で、「好き!」と思えずに、愚痴だらけで仕事するのだけは嫌なのだ。

やっぱり私は、根っからの仕事好き。仕事をやめることは、やっぱりできないのかもしれない。もし、やることが変わったとしても。

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こんなに私が仕事好きであることを、職場の人たちは誰一人知らない。たぶん従順で生真面目なだけの人間だと思っているのだろう。

言わない方が下積みがうまく進むから、こういう考え方をしていることはあまり言わない。今は、楽しい下積みライフを精一杯エンジョイしていたい。

 


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03/8/21(木) am 秘書としての遠き慮り
先日、部署の中で私と一番仲のよかったローズ先輩が異動して、別の部署に移った。

同じく先日、6月にうちの部に配属されてチームが未決定だったリボンちゃんが私と全く同じ仕事をするチームに移り、ワセダ先輩が教育係をすることになった。

さらに本日、リボンちゃんのチーム決定と教育係決定に伴い、ローズ先輩がいなくなって抜けた席に私が移り、私が移って空いた席にリボンちゃんが来ることになった。

私の席は、教育係の近くがよいということで、3度席替えがあったがここ1年余りワセダ先輩の隣だった。同じように、リボンちゃんが今度は隣の席で学ぶというわけである。

ローズ先輩がいた席というのは、私が部署で目標と仰ぐスタージュエリー先輩の隣なので、私は結構嬉しい。別に今までの席が嫌だというわけではないのだが、職人肌のワセダ先輩は作業を始めると没頭してしまうので質問がしづらい。そのためいつもわからないことがあるとスタージュエリー先輩に聞きに行っていて(私が新しい知識を仕入れていることをワセダ先輩にいぶかられて、私が「スタージュエリー先輩から教えてもらいました」というと「なぜ俺に聞かない!?」と非常に怒られるのだが、しょうがない)、ワセダ先輩のそばにいても意味がなかったりしたのである。それがもう、スタージュエリー先輩がお隣。省力化。ありがたい。

今日の午後一番でゼブラ課長(そう、ゼブラ係長はこの8月から課長に昇進したのである)から席替えのお達しがあって、30秒で「すぐうつります。今移ります」と断言、今週特にワセダ先輩から仕事を振られていないリボンちゃんにも「今でもいい?今すぐきれいにしちゃうから」と声をかけ、早々に荷物の片づけを始めてしまった。

本当は、今週金曜にチーム全体の席替えが計画されており、チームの方針会議でアンブレラ部長とゼブラ課長とワセダ先輩の3人が話し合って新しい席順が決まっていたらしい。しかし、どうせ10月にも席替えがあるかもしれないので、今やるのはやめてほしいと総務に言われ、必要最小限にとどめるという意味で私とリボンちゃんをピンポイントに席替えしたのである。

私が荷物をまとめていると、ワセダ先輩が打ち合わせから戻ってきた。課長が「連打屋ちゃん、席が変わるから。その席はリボンちゃんになって、連打屋ちゃんはローズちゃんのところになります」と告げると、やや驚いた様子だった。

チーム全体の席替えをもしやっていたら、ワセダ先輩と私は全くの隣ではなくなるものの、机ひとつ置いた席くらいの配置だった(どうやら、自分が統括するチームの配置ということで、ワセダ先輩自身が私やスタージュエリー先輩の席を決めていたらしい)。それがピンポイントの移動に変わってしまったので、私は何とワセダ先輩とは机5つ離れた、島のはしっこの席になった。

よくわからないのだが、席の配置とは業務に結構大きく影響するものらしい。自分の意図の外でいきなり私が荷造りを、しかも嬉々とした様子で(そう見えたらしい)即座に始めてしまったので、ワセダ先輩は少しばかり困惑しているようだった。

そう、この席替えとは実は大きな意味を持つもので、事実上私の独り立ちを意味するのだ。ワセダ先輩から見ると、今まで完全に自分のコントロール下にあったものが離れるというわけである。私は今まで半分ワセダ先輩の秘書のような立場だったので、まあ隣にいなければ少しは不便なのだろう。

「お前、はやいよ! しかも、何でそんなうれしそうなんだよ!」

「えっ…でももう今日しか空いてないんで…」

「俺はさびしい!」

ヒステリックに言われようが何されようが仕方がない。どうせ決まったものなら早い方がよい。ワセダ先輩が自分の仕事の忙しさと席が遠いのをいいことに、教育係になってからも特に教育らしきこともせずリボンちゃんを放置していることはよく知っている(何しろ隣の席なうえ、秘書みたいにいつもくっついているのでわかりたくなくてもよくわかってしまうのだ)。

そんなのはダメだ。ワセダ先輩に有無を言わさぬ位置に早くリボンちゃんを置いてあげないと、彼女の成長が妨げられる。

私が荷造りを始めたことへの反応を見ても明らかだが、秘書的な立場の私への依存度が高くなっているワセダ先輩には、ちゃんとリボンちゃんの教育係という立場へスイッチしてもらわないと非常に格好悪い。部下として、上司を甘やかすわけにはいかないし、私を甘やかさせることも許してはいけないのである。

それに、一番気になっているのはリボンちゃんの今までの席があまりよくないということなのだ。彼女の隣にいるマウント先輩はワセダ先輩の同期だが、仕事をさぼって女の子の席の周辺で油を売り、雑談に興じてばかりいる最低の男。そのくせ、自分が目をつけた女の子のやることなすこと妙に干渉したがる。以前はローズ先輩に干渉して、自分の仕事はそっちのけで頼まれてもいない異動の準備を勝手に手伝っていた。

こんな人の隣になっているばかりに、リボンちゃんもかなり余計な干渉を受けているようなのだが、新人のリボンちゃんにはマウント先輩の言っていることが正しいのかあてにならないのかの判断もできない。そのためにおかしなアドバイスを鵜呑みにしてしまうことがしばしば。こんな人の隣にいたのではまともな仕事のしかたを覚えられない。

私が今までいた席は、ワセダ先輩と学習院先輩の間。二人とも仕事中毒に近く、仕事のやり方は非常に有能だ。早くマウント先輩から引き離して、この位置においてガードしてあげた方がいい。

ちょうどよくワセダ先輩はマウント先輩を嫌っているから、彼が席替え後リボンちゃんに干渉しようとしても大丈夫。狡猾なワセダ先輩のことだから、(自分もマウント先輩には近くに来て欲しくないという理由で)リボンちゃんの近くに来づらい雰囲気を作ってくれることだろう。大体、仕事をしてない人は仕事をしている人のそばには近づけない。近づく理由がないから。

私はリボンちゃんとすでにこの2ヶ月で結構仲良しになっていて、リボンちゃんの身の上をずっと気にしていた。だからすぐに席の移動にとりかかったのだが、どうもそういう私の感情はワセダ先輩にはくみ取れないらしい(言ってないから当たり前だけど)。

それどころか、ワセダ先輩ときたら、リボンちゃんはマウント先輩のお気に入りになっているから、むしろマウント先輩に教育係を変わってもらいたいと私に言っていたくらいなのだ。昨日。きっとマウント先輩が関わる事柄にできるだけ関与したくないということなのだろうが、そんなことも聞いていたのでますます私はさっさと荷造りをする気になった。

アホか。上司にそんなことを言わせておくわけにはいかない。この1年でよくわかったのだが、ワセダ先輩は早く上にのぼりたいという野心をたっぷり持っている。そんなことを考えているくせに、甘ったれたことを言ってるようではダメなのだ。

そのためにも、秘書兼心理カウンセラー役の私はいなくなるのが上司のため。私としても、私に対して何かと過保護なワセダ先輩にガードされすぎるのを防ぎ、ひとりで仕事を進める環境へ自分を置かなければ、いつまでたっても「自分のやり方」を作り出せない。

というわけで、いろいろあって即座に自ら独り立ちしてしまった。こういうのに余韻を持たせるとろくなことがない。そこでワセダ先輩が打ち合わせでいないタイミングを狙い、いない間にさっさと終わらせようと思ったのだが見積もりを誤り、ちょうど引っ越しの最中に先輩が帰ってきてしまったわけである。

私がさっさと引っ越しをする様子を見ながら、スタージュエリー先輩が「おっ連打屋ちゃん、いよいよ独り立ちだねえ」と感慨深げに言った。そうそう、独り立ち。

新しい席は島の端っこなので仕事に集中でき、かつスタージュエリー先輩の隣なので質問が簡単にできる。それに、有能なスタージュエリー先輩の仕事の様子も隣からうかがえるというわけで一石二鳥。やっぱり、同じ人の仕事ぶりばかりを見ていても盗むものが少なくなってダメなのだから。

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席の移動が終了して仕事を再開した夕方ごろ、スタージュエリー先輩が席を外しているところにワセダ先輩がやってきて、スタージュエリー先輩の椅子に座った。

ワセダ先輩「…やっぱり、隣に連打屋がいないとなあ」

連打屋「…穴開けパンチは買った方がいいですよ」

馬鹿馬鹿しい話だが、ワセダ先輩はここ1年ばかり私が隣にいたため、穴開け用の2穴パンチをいつも私に借りていた。

ワセダ先輩「いや、もうリボンにいつも引き出しに入れておくように頼んだ」

連打屋「そうですか。よかったですね」

(そうそう、こうやって依存状態から抜けないとダメだよほんと。格好悪いったらないんだから)

そこへ、スタージュエリー先輩が戻ってきた。ワセダ先輩はまだ椅子から立たない。

ワセダ先輩「お前さあ、早いよ」

連打屋「そうですか? でも、今日ぐらいしか空いてなかったんですよ」

後ろで見ていたスタージュエリー先輩が、ひと言。

「連打屋ちゃん。さびしいっていうことだよ。そうですか、って言えばいいんだよ」

一体何なんだこれは。

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ということで、私は今日から独り立ち。「仕事運がすごくいい」と言われた私の本領発揮は、一体いつになることやら。

03/8/12(火) am 渋谷の手相見
人生に悩んだ。

何も今に始まったことではないが、今度こそ本格的に悩んでいるような気がしたので、渋谷で手相を見てもらった。30前の女の悩みは深く、暗い。

ちなみに30まではまだ2年半あるが、のうのうとしてはいられないのだ。むしろ、挽回できるかも知れない…という望みがまだ残っているこういう時期が、プレッシャー最高潮のような気がするのですがいかがでしょうか。

あがけばあがくほど苦しい。自分の星回りみたいなものがだんだんと見えてきて、それがどうやら通り一遍の女の人生とは違うような様相を呈して来つつある今、私の悩みは深い。まだ諦めきれずに、普通の人生を望むのだが、それがなおさらわれと我が身を辛くする。

というわけで、手相見に行った。

星占いやカードはうんざりなのだ。どうせなら、「あなたの体に、あなたの運命が刻まれています」的なものでないと、もう私の妄執はおさめきれない。

手相は前から本を買って見ていたりしたのだが、どうも私の手相はヘンで、どの線が何なのかわからない。どれが生命線で、どれが頭脳線なのかわからず、しかもよくわからない、薬指や小指方向に向かう長い縦線がここ2年程度で現れてきているのだ。

30半ばとおぼしき女性の手相見は、私の両手を見るなり「面白い相ですねえ。これだとどれがどの線か、自分で見てもよくわからないでしょう」と驚いた顔をした。

「右手と左手が全然違う。あなたは2面性を持った人のようですね。左手は優しくおだやかで、非常に慎重。右手は頑固で大胆、勝負強い。資格を取ったり勉強したり、慎重に地固めして、勝てる勝負しかせず、やった勝負は必ず勝つ相です」

私の就職活動を見てきたかのようなコメント。

「仕事運が強いですね。非常にいいです。まだ若いのに、運命線と太陽線と金運線があって、くまでのような形になっているでしょう。仕事をしてお金をつくる相です。将来独立できるような種類の専門的なものを身につけて、社会に認められて活躍するのに向いてます。ただし、少しでも弱い部分があると勝負に勝てなくなるので、慎重に基礎を固める必要がありますが。小刻みに勝って、自信をつけていくのがいいです。家庭にはおさまりきらないので一生現役、仕事を続けるのがあなたのためです。人の上に立った方がいいですね」

なるほど。かねがね、自分でもそう思ってました。だってヒマになると病気になるんです。私。

「あなたのお誕生日からすると、あなたは王の星を持っていますから、結婚したりしても男の人の運をしのいでしまいますね。結婚するならあなたを束縛するような人ではなく、あなたと社会のつながりを断たない、器の大きな男性がよいようです」

あのうそれって具体的に…

「これ、説明しづらいんですが、あなたのお相手に野人の星が出てるんですよね」

野人! これまたキャッチーなワードが…

「野蛮人というか…言いたいことをずけずけ言って、人がびっくりするほど口が悪いというか…うーん、男らしい人です。女心の機微はわからないけど、愛情は注いでくれるというタイプですね。言わずに察してもらうことが無理でも、嫌なことは嫌だと言えば、まっすぐすぎるくらいにその通りにしてくれます。男らしくて優しいですよ。たまにケンカもしますが、支え合う間柄ですね」

野蛮人。なるほど、ガラが悪いっていうことですね。いやこりゃまた具体的なイメージがふくらみます。覚えもあります。でも野蛮人を配偶者に迎えても、私は結局その夫の運を超えてしまうんですか。とにかく私はいつその野人に会えるんでしょうか。

「あなたが仕事を一生懸命やって、忙しくしている時に出会いがあります。逆に、仕事がうまく行かなくて弱っている時に会った人はあまりよくありません。結婚線が3本ありますが…この小さいのはもう過ぎてるみたいですね。2番目に大きいこの2本目のが、もうそろそろ…ここ1、2年かしら…」

でも前から気になってるんですけど、一番小指寄りの結婚線が、一番長くありませんか? これは一体?

「必ず離婚するというわけではありませんけど、合う合わないはわからないところがありますから…この線の時期も出会いがあるということですね」

で、それはいつですか?

「30後半…40くらいかしら…とにかく30は超えますね」

なるほど、ということはこの1、2年を逃したらあとは30過ぎまで仕事をがんばれ、というわけですね。

「でも、この線があって、あなたの星回りだとこの1、2年、恋愛の星が出てるんですが…何かあると思うんだけど…」

出会ってもそいつが野人か否か。それが問題なんですね。うーむわかりました、じゃあスタージュエリー先輩に頼んで「野人合コン」のセッティングをしてもらうか…。

いや、でも野人とは言っても私にとって野人か否かっていうことで、別に毛深いとか手づかみで皮ごとバナナを食うとか、そういうことじゃないしな…

「とにかくさっきの話に戻りますけど、あなたは本当に仕事運がいいですよ。社会でどんどん活躍してください」

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仕事します。とりあえず忙しくしている時に会えるらしいので、懸命にやりますよ。ええ。

でも思うのだが、これって今まで私が漠然と思っていたことと全く同じなのだ。

私はたぶん、私に正面切って威勢よくものを言える人じゃないとダメな気がしていた。私の能力を超えて、かつものをはっきり言う男の人がさっぱり見つからなかったから東北を捨てた。風土的にそういう人が少ない。

仕事運だけは今まで悪いと思ったことが一度もない。勉強や仕事はやれば勝てるはず、と小さい頃からずっと思っている。

あとは野人か…私もそう思ってたよ、そのくらいじゃないとつまんないなあ、くらいのことは。

でも私の覚悟は決まった。私、仕事します。とりあえず忙しく。そうすれば、野人も自然と森の中から現れる。

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何ヶ月か前、打ち出の小槌を右手に持つ夢を見たが、あの謎も解けた。願いがかない、小判が出せる打ち出の小槌を右手に持っているというシーンは、たぶん直感的に、私が右手の手相がいいことをわかっていたからに違いない。

しかしこの夢の奇妙なところは、この後私を呼ぶ声がして、その方向に私が行くと、その声の主が私の左腕を掴み、どんどん歩いてどこかへ私を連れて行こうとした、ということだ。

右手に打ち出の小槌を持った私をどこかへ連れて行ったあの人は野人だろうか…今は野人でなくても、将来そうなってくれるのだろうか。自分が浮気するのだけは、いやだなぁ…

30前の憂鬱は、さらに混迷の度合いを増しながら私を仕事人間にしていこうとしているようです。

 

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