真夜中の長電話のように。

 

 

99/7/30(金) pm ロング・ヴァケイション
完成されて最後に残ったものより、過程で生み出された生々しいものの方が、過去のある時間を強烈に削り取っていることがあるらしい。

今日、諸事情あって一時休止していた連打屋業務再開に向けて、もろもろの資料(素材のネタとか、配色やHP作成関連の本など)を後輩のロッカーから自分のロッカーに移した。

いずれ後輩が使うだろうと思って預けていたのだが、結局業務は凍結し資料も不必要なものとなって後輩のロッカーで眠り続けていたのだ。

ところが、最近になって業務再開の方向に流れが変わってきて、仕事をもう一度できるらしいのである。その準備で、失ったカンやノウハウを思い出すために忘れられていた資料をひっぱりだしたのであった。

数冊の書籍と一緒になにやら書類の挟まったクリアファイルが2つ。「ん? これ……」

たとえばある女性が、もう一通も残っていないはずととうの昔にあきらめた、死んだ恋人からの手紙を偶然本の間から見つけたときって、こんな感じがするのだろうか。

そこには、1年数ヶ月前に自分が懸命に仕事をしていたとき使っていた、手順のメモや、上司からの指令書、そして作りかけのページをプリントアウトしたもの、リンク表、ウェブガイドラインのコピー、とにかくあまりにも生々しい書類が入っていたのだ。プリントアウトの端の日付は、98/02/26 20:20。

それと同時に、真夏の蒸し風呂のような部屋の中で、何でだかわからないが、冬の冷たい朝焼けや白い息や凍ったアスファルトや夜明けのコーヒーや濃紺の夜空や妙な使命感や胃痛や吐き気や、それでも失われず手指にみなぎるわけわからんチカラや、とにかくいろいろなものを次から次へと溢れんばかりに思い出した。指が震えた。

手紙を読み、読み終わり、ふと頬に涙が流れていると気付いたとき彼女は、やっぱり死んだ恋人ひとりのために操をたてていこうと改めて固く厳粛に決意するのだろうか。

99/7/30(金) am 嗚呼世の中の不均衡
今日、高校生の弟がオープンキャンパスでうちの大学の工学部に来たらしい。工学部はうちの大学の看板学部で、案内した院生が「工学部、最近金回りいいからね〜」などとほざいていたらしい。

肝心のことを聞いてみたら、「もちろん。全館だったよ」だって。

くそーーー、ぜーたくなクーラーの使い方しやがって!! 廊下につけてるクーラーをこっちにくれよ!! しかも秘書までいるらしいじゃないか。一体どういうことだよ!?

まるで第二次世界大戦中のドイツにいるユダヤ人のひとびとのように、大学の中でも最大級に虐げられている文学部生にしてみると、最高にムカつく話だ。こっちだって奴らと同じだけのバカ高い授業料払ってんだぞ!? 一体私の払っている授業料の何%が私自身のために使われているやらわけわからん。あたしは工学部の奴らの餌食になるために学校通ってるのか?

ねー神様、こんな不均衡が許されていいの? どうぞ学長の夢枕に立って、それでもダメなら雷でも落としてこらしめてください。

99/7/29(木) am 怖い怖い怖い道
世の中何が恐ろしいって、やっぱり死んだ人間より生きてる人間です。

友達とのお食事会を終えて午前1時に通るには、市街中心部のアーケードは恐ろしすぎた。

金髪率(元黒髪率)や白髪加工率が高すぎるし、肌黒率も高い。

「ROXY」あたりの服を身にまとった、エクステンション&高ゲタおねーさんや、ふらふら・ぶかぶか・ずるずるという擬態語で表現されそうなおにーさんたちが闊歩している(おねーさんおにーさんとは言ってもかなりの高率で年下が混じっているだろうが)。街路樹の周りの柵にけだるげに腰掛けて、何かを待ってる人々。うわ、思いだしただけで怖い。

だいたい、ああいうとこにいるおにーさんの群れは真っ直ぐ歩かない(案外歩けないのかも)から本当に恐ろしい。ジグザグ歩行で自分にぶつかられたらどうしようと思うと卒倒しそうだ。

走り屋さんの車も多かった。いや、かなり「ヤン車」っぽかったけど。ダッシュボードにチーム名のプレート置いてたりするからすぐわかる。時々スペルミスが見られる手作りプレートです(familyがfamiry、hellがhall、かっこよさを追求しようとした涙ぐましい努力のあとが伝わります)。

怖いモノがいっぱいだった。拡声器のサイレンを「ウー、ウーーー」って鳴らしながら歩きでもしないと怖くてならない。拉致されたらどうしようって真面目に悩む。……自意識過剰?

こんなだから、私をモデルにした人物が「一人称が『わたくし』の男性接触嫌悪症の古典教師」という造形になっちゃうのかなぁ。

確かに、ある意味当たってはいるけど……。

99/7/27(火) pm じいちゃん大好き
私は「じいちゃん」が好き。「オヤジ」ではない。あくまで老人。ばーちゃんも好きは好きなんだけどじーちゃんほどではない。

じじい→おじいさん→じいさん→じい→おじいちゃん→じいちゃんの順で目の輝きが増していく。

とにかく弱くて困る。小説も俳句もドラマもじいちゃんネタに弱い。初めて読んだ小説はスピリの「ハイジ」。アルムのおじいさんが大好きで、ハイジとおじいさんの生活の部分を何度も何度も読み返した(その次に好きだったのはもちろん黒パンのおばあさんだった)。

ドラマ化された「うらぼんえ」で、おじいちゃんが帰ってきて涙を流して主人公の女性をかばうシーンなんてもう大変。号泣、慟哭。

長い年月を経たじーちゃんとばーちゃんの夫婦愛なんてもう殺されるというくらい心が揺さぶられる。森鴎外の「じいさんばあさん」なんて私の心を空中ブランコ並にぐるんぐるん揺らして振り回す。いつか絶対歌舞伎版を見てやると闘志を燃やしている。

ポストペットのハムスターには、文学作品中最高に好きなじいちゃんの名前をつけた。

何でこんなに弱いのか理由はよくわからないけど、もう、こりゃビョーキね。

99/7/26(月) pm きょうの「女医」
「じゃあ、蜂蜜とってきます」って駆け出そうとする大路恵美はもちろんよかった。

でも「そうじゃないんだ!」と苦々しくロッカーを叩く渡辺いっけいはもっとよかった。

去ってゆく後ろ姿は涙さえさそった。いいっすねー、「惚れた弱み」って。

全く他人の「惚れた弱み」と「惚れさせた強み」のありようを、第三者として間近で閲覧してみたいものだ。悪趣味だけど…

99/7/25(日) pm 自分がモデルの絵
自分がモデルの絵を見に本屋へ行った。不思議な感じ。

男性接触嫌悪症の高校教師(古典)!?……しかも一人称が「私(わたくし)」だった。

恥ずかしいけどうれしいわ。

99/7/24(土) pm 電話風に
えーそうなんだ。でもさー人の本性って、結構軽い一言でわからない?

うん。考えて考えて考えて、深刻ーに言う言葉もそれはそれで真実なのかもしんないけどさ、結局それって考えて言ってるわけだし、何だかんだラッピングされてるような気がするよー。

うん、そう。背伸びしたりお世辞言ったり、思ってもないようなこと言ってたりして、結構無理してたり、あッッてになんないよ。

ごはんのときとか歩いてるときとか、ぽっと出の一言って考えて言ってないじゃない? そう。だからそいつの本性にビシッ!!とつながってるんだよ。そうそうビシッッッ!とね。心臓にストロー刺して出してるみたいな感じで。

残酷ー? そう? 人生これスプラッタ、返り血浴びてチマミレよ。……あははは!

過去に気張って言われた言葉がどうだったかは問題じゃないよ。そう。逆にそういう言葉でズキッとくるんじゃ、考えた方がいいと思う。うん。それって絶対本音。悲しいけどさ、そうだと思う。

……そう。じゃまたね。うん、おやすみー。

99/7/23(金) pm なにもないひ
今日は何もなくて、洗濯したりテレビを見たりして一日中ぼうっとしていた。

ヒマで何もすることがないと、余計なことばかり考えるし、はたと我に返るし、いいことがない。

一生懸命空白の時間に何か埋めようとあがいても、結局自分の存在の希薄さを感じて1日が終わるのです。

そうこうしているうちに明日もヒマになってしまった。いっそのこと、今夜眠りについたらあさってまで目がさめなければいい。

99/7/22(木) pm 成長速度
今のこの心理状態が3年前なら良かったものを、と思うことがよくある。どうやら、私は普通の人より精神的成長スピードが3〜5年ほど遅れているらしい。

変なところではやたら年を食っているような気もするんだけど、一般的な……対社会的なところでやたら成長が遅れていて本当に情けない。

もともとスピードが遅いのに、外からの要求で無理矢理速めることはきっとよくないから、自分の内面が自然に変わっていくのを気長に待つしかない。それはもうしょうがない。

だけど社会が求める成長の節目と自分の精神成長が合わないから、いつも出遅れて、みんなとずれてばかり。そのくせ変わり始めると本当にがらりと変わる。

私はきっと、ものすごいスピードで進んだと思えば止まってびくとも動かない、かと思ったらまたものすごいスピードで進み始める時計のようなものなのかも。こよみと合うのは、進んで止まったその一瞬だけ。普段は全然合っていなくて。

ほかのみんなは、いったいどんな時計だろう。

99/7/21(水) pm 痛みと暑さ
私はコンピューターと同じだ。衝撃と暑さに極度に弱い。

今日、急いで自転車を走らせていたら、駐車場に入るためかいきなり歩道に原チャリが突っ込んできた。よけきれなくて、衝突。

私は一度むちうちをやっているから、わずかな衝撃でもすぐにむちうちになる。もしかしたら再発したかも、という恐ろしい予感がよぎったが、急いでいたので電話番号も聞かずに別れた。

もしあそこで電話番号をきいていたらどうなるんだろう。こっちはちゃんと歩道を走っていたんだし、突っ込んできた原チャリの方が悪くなるかもね。割合としては私:相手=3:7くらいだろうか? 自転車の方が弱者だし、歩道に入るんだから相手の方がより注意しなくてはならなかったはず。

そう考えると、結局私の損か。あーあ、事故ってホントに腹立つ。相手に200万くらいふっかけて、思う存分マックを買えばこの恨みも晴れるかもしれないけど。

バイトで授業をやりながら首周りに覚えのある不快感が出てきて、あ、やばいなーと思ったけど、電話番号も聞いてないし、大体むちうちってレントゲンにうつらない自己申告の怪我だから相手にふっかけるみたいでイヤなんだよね。でも帰りにイヤな感じを首周りに感じながら蒸し暑い道路を空腹のまま自転車を走らせていたら、さすがに怒りがこみ上げてきて大変だった。八つ裂きにしてやる、っていう言葉は、こういうときのためにあるにちがいない。

むちうちは翌日の目覚めの時に一番よくわかるから明日まで待ってみないとよくわからないけど、この感じは軽いむちうちで決まりだろうな。ああ、ついてない。私には悪霊でも憑いてるんじゃなかろうか。数年前からずーっとそんな気がする。

とりあえず、私をすさませる暑さと痛みを和らげなくちゃいけない。ごはん食べて、クーラーガンガンつけて体冷やして、首周りには湿布べたべたはってはやく寝よう。

99/7/20(火) pm うみのひ
日曜でもないのにゆうべからどうも隣にミカちゃんが来て藤田さんはしゃいでんなぁって思ったら、今日は休日だったのか。

2人が「きゃー♪」とか騒いでる間に、私はせっせとアルバイト。夏期講習で現代文。指示語接続語キーワードってなもんですよ。

教育系アルバイトの良いところは、いろんな種類の生徒に会えることね。今日は生徒の一人が地方新聞に自分の投書が載ったと言ってコピーを私にくれた。ほんとにちゃんと載っていた。

「先生、はい」って差し出すときのあのはにかんだ表情が最高!キミに3000点! かわいいぞー!!

だけどどんなにいい奴を見つけたところで、塾くらいじゃまだモラルの鎖でぐるぐる巻き、どうなるってわけでもないから、私にはそのへんが結構辛いバイト。プロの先生はどうやってセルフコントロールしているんだろう。単に私が未熟モノだからこんな感じなのかなあ。

でもこのモラル、民間の社会人向け教育機関なんかはきっとかなりいい加減だろうから……

99/7/19(月) pm 目もくらむほど
目もくらむほどやりたいことを見つけた場合、どうしたらよいのだろう。

少なくとも、あまり考えているとアパートの階段で転んで膝をしたたかにぶつということがわかった。

ズビシ!!(ぶった音)

99/7/18(日) pm オープニングで観るドラマ
私はTVドラマのオープニングが好き。オープニングに凝っていないドラマは楽しくない。

オープニングが好きだったのは、「セミダブル」や「眠れる森」、「ケイゾク」、ちょっと古いけど「Age,35 恋しくて」、「沙粧妙子 最後の事件」。

カットごとの色使いやテーマ曲がドラマの雰囲気ときちんと合っていて、たった2分間それを観るだけでドラマ全部を観るのと同じくらい意味のあるオープニング。そういうオープニングが好き。

ただテーマ曲まできちんとコーディネイトされてるドラマってなかなかない。とってつけたようにいかにも「タイアップです。」っていうテーマ曲は嫌い。小室哲哉の作ったテーマ曲がドラマときちんと合っているっていうのは見たことない。逆につんくの曲は見事。

今シーズンのドラマで好きなのは「女医」のオープニング。陶器のようななめらかな映像と体温を感じる色使い。それとスイッチするように流れる透明で涼やかな映像。特に3人の女優の表情が最高。

このオープニング、この間偶然ビデオに撮って、そこだけ何回も見直してしまった。大路恵美って素晴らしいね。女性の顔って天使にも悪魔にもなる。

あれを観てると、男に生まれ変わってああいうきれいな人にだまされてみたくなる。

99/7/17(土) pm Shake My Soul!
両方とるということは、両方傷つけるということなんでしょうか。

自分のまわりに2つの極端な価値観があって、自分はどちらにも属していて、どちらにも属す自分は、半分合格で半分不合格の、妙な気分を両方で味わう。

だったら私が傷つけるんじゃなくて、私が両方で傷つくってことか。

いいってことよ。転がる石は、磨り減ってなんぼのものなんだから。

99/7/16(金) pm 連打屋の長く長く長い1日
昨日は完徹で1日が始まった。朝から授業に出て死ぬ気で書道をやり、その後街に出て人に会い人生の岐路に立たされた。

街をほっつき歩いて友人に会い心を落ち着け、その後スクールに行ったらつい意識が遠のいて先生に「大丈夫ですか」って言われた。

その後飲み会に行って明け方まで飲んで徒歩で家に帰った。自分の肉体的連続稼働時間および精神的ダメージ止揚力の限界を超えた。

いつどこで、どんな状況で人生の岐路をむかえるかわからないものらしい。運命の輪がまわるスピードとタイミングに、私は時々ついていけなくなる。

特に私のは、私の友人の多くのように「いつ頃まわりそう」なんて予想のつく動きをしてくれないから恐ろしい。前に行ったり後ろに行ったり、止まって動いてわけわからん。

でもそんな自分だからこそ、飽きっぽい私でも長いこと飽きずに自分をやっていられるような気はしますけどね。

 

 

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