合成樹脂の鋳物

−フィギュア・ガレージキットに関するメモ−

シリコーンゴムによる型取り法を調べるなかで、フィギュアのガレージキットというものがあることを知りました。

ポリウレタンレジンによるガレージキットは、まさに合成樹脂の鋳物です。

そして、多くのアマチュアが自ら原型を作製し、型取り・複製を行い、ワンフェスのようなイベントに参加して交流しています。また、Webページでは、作品や作製法を公開したり、イベント向けのガレージキット作製にまつわるドタバタなどをいかにも楽しそうに書いています。ある意味では日曜鋳物師の理想が実現しているとさえ思えました。

というわけで、調べたことをちょっとメモっておきます。

今度、メタルフィギュアに挑戦してみようかな。


ガレージキット概論

ガレージキットとは、"プラモデル"と呼ばれるプラスチックのインジェクションキットとは異なり、模型店や小規模のメーカー、個人等が原型を作製し、型取り・複製を行って製品として出荷しているものを指す。

インジェクションキットは、溶けたスチロール樹脂を金型に高圧で射出することにより成形したものである。金型を用いるため長期的な大量生産が可能だが、金型製作には膨大な費用と時間とが必要となる。

これに対して、ガレージキットでは、原型をシリコーンゴムで型取りし、これにポリウレタンレジン(あるいはソフトビニールやホワイトメタルなど)を流し込んで複製する。この方法は特別な設備を必要としないため、アマチュアでも自家製キットを作製することができる。ひとつのシリコーンゴム型からは数十個程しか状態の良い複製は取れないが、型の作製にコストや時間がかからず、原型が完成してから商品ができるまでの時間が短いので、機動的な展開が可能となる。マニアックな側面を持つキャラクター物などでは、これらの特性が非常に有効に働く。

したがって、プラモデルが実在する乗物等のスケールモデルを中心に発展してきたのに対し、ガレージキットの方は、アニメやゲームなどのキャラクターのモデル化を中心に進化してきた。

ガレージキットの作製法(概要)

代表的な原型素材と造形法

「ファンド」 (石粉粘土)

造形用紙粘土。水分が蒸発することにより、乾燥・硬化する。キメが細かく、扱いやすい。

脆いため、鋭角のエッジや細かいパーツには不向き。また、乾燥により硬化するため、体積収縮(ひけ)がある。

(造形法)  木片や針金などで作った骨組みに、少しずつ盛り付けて乾燥させることを繰り返して形を作っていく。新たに盛り足すときには、乾燥した部分に少し水をつけて濡らし、表面を柔らかくしておく。

「スカルピー」 (オーブン粘土)

造形後、焼くことによって硬化させる(焼成温度135゜C、焼成時間20分)。焼かない限り硬化しないのが特徴。

盛り付けながら形を出していく。焼成後、切削を行うことも可能。

食い付きが悪いのが欠点。

(造形法)  骨組みにそのまま盛り付けていく。

ポリエステルパテ

主剤に硬化剤を加えることにより、反応・硬化させる。このため、ひけは少ない。

強度があり、鋭利なパーツや薄いパーツも作製可能。食い付きがいいので、追加盛り付けが容易。ガレージキットの補修・改造にも使える。

ペースト状のため、大量の盛り付けは不可。盛り付けの段階で形を出すのではなく、切削により形出しをする。盛り付けの際に気泡が入るのが欠点。

(造形法)  骨組みに少しずつ盛り付けて硬化させ、削ることにより形を出していく。

エポキシパテ

主剤に硬化剤を加えることにより、反応・硬化させる。このため、ひけは少ない。

粘土のように大量に盛り付けることができる。盛り付けて硬化前に形を出す。

(造形法)  骨組みにそのまま盛り付けていく。盛り付けの際には、前に盛った部分の硬化を待つ必要がない。通常は、硬化前に形出しをするが、硬化後の切削も一応は可能。

型取り材

(省略)

注型材

ガレージキット素材の大半を占めているのが、いわゆる無発砲ポリウレタン(一般にレジンキャストと呼ばれるのはこれ)である。ポリウレタンは二液混合常温硬化樹脂で、流動性が高く、硬化後カッターやヤスリによる切削加工が容易にできる。

混合する二液(A液およびB液)のいずれも吸湿性があるので、注意を要する。無発泡ポリウレタンの混合液に水分が混入すると、気泡が生じる。また、B液は、水分と反応して硬化してしまう。

硬化後の接着には、瞬間接着剤やエポキシ系接着剤を用いる。

ガレージキットのイベント

同人誌に「コミケ」があるように、模型の分野にもお祭りイベントがある。ワンフェス(Wander Festival)やジャフコン(JAF-CON)である。

これらのイベントのメインは、ガレージキット即売会である。これには、アマチュアなどの個人がディーラーとして参加することができる。面倒な権利関係については、「当日版権」、すなわちイベント当日のみ有効な版権を取得するという特殊なシステムを創り出すことによって解決している。

閑話休題

ところで、ガレージキットの分野でも、型に液体のレジンキャストを流し込むときの通り道を「湯口」と呼びます。レジンキャストと「湯」とではどう考えてもつながりませんが、ガレージキットの手法が鋳物作りに直接由来していると考えると納得がいきますね。


1999年3月11日更新
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