私の文字風景October
思うこと、気づいたことなどを気ままに綴る落書き帳です。 


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  故郷 - 10月30日 -
写真:故郷(春)眼下に広がる海と山が近づき、飛行機は一気に地上へと降下する。周りには高いビルもなく、三方を緑に囲まれ、一部に草花が生える滑走路に着陸すると、「あぁ無事に帰ってきた…」とほっとする。
故郷の町並みが瞬時に遠ざかる出発便にはいつも寂しさを感じつつも、これまで何度往復したことだろう。

カートを曳いてロビーを出ると、鮮やかなブーゲンビレアが出迎え、故郷の風と空気の匂いは、豊かな抱擁感と幸福感で満たしてくれる。ほどなく駐車場を出て少し町並みを走ると、道の両側を彩る季節の花に気持ちが和む。青い空に向かって真っ直ぐに立つシュロ並木を縫ってハイウェイを走る。迎えに来てくれた弟の「元気じゃったや!」に始まる古里言葉がうれしい。

ハイウェイ沿いに見え隠れする海原、松林、雑木林を抜けると、車窓に広がる景色は、山と田園とハウスに覆われた農風景ばかりだ。
やがて町並に、見覚えのある風景が見えてくる。小さな町もそれなりに進化しており、帰郷のたびに新しい発見がある。

町を離れて堤防沿いの近道に進む。あたり一面がアザミの花で覆われていた春、チガヤの白い穂が風に揺らめいていた初夏、数年前の冬に父と散歩したのもこの道だった。狭い道幅の往来は窮屈で、農機具を積んだ軽トラックのドライバーと会釈しながら、手際よく譲り合い、通過する、田舎ならではの穏やかな光景だ。

堤防を抜け脇道に入ると実家は近い。両側に水田や煙草畑が続く。農閑期の今頃は、土の色が見えるころだろうか…。
小さな橋を渡り、細い道の突当りに両親が暮らす故郷がある。故郷とはいっても、私はここに暮らしたことはない。20数年前、この地を終の棲家として落ち着いた、両親の住まいである。

皆若かった当時は、里帰りの度に幼い子どもを囲んで集い、近くの小川で水遊びをし、早朝の雑木林でクワガタムシ虫捕りにはしゃいだものだ。人も自然も少しずつ形を変え、なお息づいている。四方を山と田畑に囲まれ、四季折々の草花が咲く、そんな故郷の里山が好きだ。 
---故郷の風景「'02秋」--- 
  留守の一日 - 10月16日 -
写真:レコード盤行楽日和の週末、アウトドア派の夫は高野山の宿坊泊まりで尾根を縦断すると出かけて行った。彼のスピードについていけない私は、のんびり留守番を楽しむこととなる。

昨夜はずいぶん溜った写真をやっとCDに焼いてみた。整理してみると、なんと4GB余りも溜っていた。これだけでもPCに、相当の負担をかけていたことになるだろう。

さて今日は、巣立った息子が残していったお古のコンポを引っ張り出してみた。処分するというチューナー、アンプ、スピーカーとレコード・プレーヤーを譲り受け、押入れで出番を待っていたものだ。
狭いスペースに、いかに巧くレイアウトするかが至難の業だが、好きなこととなると、これもまた楽しい。

まずは高所の空スペースを利用して、スピーカを設置する。元々余裕を持った長いコードが幸いし、アンプの置き場所には不自由なさそうだ。要は接続だが、メカに関しては全て息子に頼っていた私には少し不安がある。
レコード・プレーヤーはPHONO入力に、スピーカーのコードはフロントスピーカーとやらのボタンに差し込むのだろうか…。
実行までには自信がなくて、息子の携帯メールに問うと、運良く出てくれて、どうやら間違いなさそうだ。

電源を入れ、リメークの手始めは、やはりお気に入りのレコードからだ。 ’80年代に聴いた、バーティー・ヒギンズの「カサブランカ」 “JUST ANOTHER DAY IN PARADISE”をターンテーブルに乗せ、スイッチを入れる。心地よい針音とともに、トロピカルなサウンドと彼のスウィート・ヴォイスが静かに流れ、夢に描いたレコード・ライフがようやく実現!

いそいそ昔のレコードを引っ張り出して、夢想家の秋を楽しみたいものである。
  徒然… - 10月10日 - 
写真:パイナップルセージ暴れ台風が去って青空がのぞいた日曜日。窓を開けると、ほんのりキンモクセイの香りが漂う。外の樹木に、クリーム色の蕾がひしめくように並んでいる。残暑が厳しかった今年はやっと今頃咲きはじめたようだ。例年だと9月の暦をめくるころにまず咲き始め、一呼吸おいて再び一気に満開を迎えたはず…。

西に陽が傾きはじめ、あわてて寝具を取り込みながら、移ろう季節を思う。
夏休みの留守の間、室内からベランダに移動したメダカの水槽が、まだそのままにしてある。
朝陽が射し始めた水槽の側面を、カワニナがゆっくり移動していた。冷え込んだ朝に驚いて日向ぼっこをしていたのだろうか。今年の春、ペット屋さんで買った水草に付いてきた、かわいい仲間だ。

二年前の春、孵化したばかりのメダカをいただいた。針のようなメダカは10数匹いただろうか。春夏秋冬、リビングの小さなペットに癒されて二年半が過ぎた。メダカの寿命は短いと聞くが、たった二匹になった彼女(?)らはこの冬を越してくれるだろうか。

そういえば、冷気を感じる季節を迎えた我が家には、時おりクモやコオロギがうろついている。何処から入ってくるのだろうか。よほど居心地がいいらしい。その度にそっと捕まえて外に逃がすのは夫の役目だが、できるだけ小さな生命も尊重していけたらうれしい…。

今年も裏庭に真っ赤なパイナップルセージの花が咲きはじめた。冷え切った真冬の朝、窓から見える赤い花にほっとさせられる瞬間が好きだ。