いもじな日々

−作業記録と雑感−

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2003_08

2003-08-25
アンドレ・ブルトンの遺品

 今更なのだが、今年の4月頃に話題になっていたブルトンの遺品のオークションに関するWebサイトを見つけた。 "André Breton : 42, rue Fontaine" (2006.9.27リンク更新)

 このサイトのなかに検索ページがあったので、"Hans Bellmer"で検索したところ、書籍16件、手稿6件、写真11件の計33件がヒットした。書籍のうちでベルメールがメインのものは4件のみ(『イマージュの解剖学』、1950年の作品集、展覧会カタログ2件)。また人形写真については、写真集はなく、個別の写真が11点のみである。さらに、戦後のベルメールの主要な仕事である銅版画(集)が一つもないことが注目される。どうやらブルトンとベルメールとは、いわば「付かず離れず」の関係にあったようだ。実際、ブルトンの著作(『シュルレアリスムと絵画』、『魔術的芸術』)を見ると、ベルメールについては軽く触れるか、あるいは作品のみを掲載する程度の扱いになっている。まさしく「傍系」である。

 ところが日本では、瀧口修造や生田耕作、澁澤龍彦のような「ブルトンの徒」がベルメールを積極的に紹介しているのは興味深い。

2003-08-24
アルフォンス・イノウエ週間

 ジョイス・マンスール『女十態』(生田耕作訳)(奢霸都館, 1991)届く。以前から購入しようか迷っていたのだが、『ベル・フィーユ』を見て速攻で注文した。この本にはアルフォンス・イノウエの銅版画が3点綴じ込まれている。そのなかにレイミアのシリーズが一点あって、これが凄い。

 ところで、先日の話題の件。『ベル・フィーユ』で確認したところ、「レイミア」のテーマはキーツの詩から採っているようだ。それから、私が持っている蔵書票は、レイミアのシリーズではなくて、「メルジーヌ」(II)だった。これら2つのシリーズでは何故かキャラクターがほとんど同じなのだが、調べてみると背景が少しわかってきた。

 伝説上のメリュジーヌ(メルジーヌ)の「正体」は、話によって人魚、ドラゴンまたは蛇の3種の姿をとる(1)。このあたりはセイレーンの場合に良く似ている。また、キーツの「レイミア」については、そのプロットから判断する限りでは、ギリシャ神話からではなく、メリュジーヌ伝説から題材を採っているものと思われる。

 ちなみに、Web検索を行った範囲では、日本のサイトではほとんどが蛇のケースを参照している(2)(3)。一方、海外サイトでは、人魚(4)(5)とドラゴン(6)(7)のケースが見つかった。

(1) クードレット 『叢書・西洋中世綺譚集成 メリュジーヌ物語』(訳=松村剛)(青土社, 1996.12.30)。本書は、クードレット作の「メリュジーヌ物語」とジャック・ルゴフとエマニュエル・ルロワ=ラデュリの論考「母と開拓者としてのメリュジーヌ物語」から成る。クードレットの「メリュジーヌ物語」のヒロインの正体は蛇である。
(2) 妖精物語(メリュジーヌ) (FairyTales 妖精物語)
(3) メリュジーヌの遺産 (Codex Holzweg)
(4) Melusine Story
(5) MELUSINE - An Original Image by John Meluch
(6) MELUSINE
(7) melusine

2003-08-19
アルフォンス・イノウエのこと

 サバト館から、アルフォンス・イノウエ銅版画集『ベル・フィーユ』(普及版)、『黄昏のウィーン』、山本六三画集『エロス・タナトス』届く。 山本六三画集はじつは2冊目(今回のは保存用(笑))。 『黄昏のウィーン』は、挿絵がアルフォンス・イノウエ。

 サバト館の本はどれも真正の書物好きが造った本という感じがするが、今回の『ベル・フィーユ』は特に素晴らしい。

 ところで、生田耕作の『黒い文学館』(中公文庫, 2002.1.25 )に「アルフォンス・イノウエ」という文章が収められている。曰く、

 この控えめが災いして、こんにちまでイノウエ氏の作品は世に現れる機会を自ら遠ざけてきたきらいがある。何度かのささやかな個展、前衛的な文学作品の挿絵などのかたちで発表されたことはあるが、氏自身はいつも友人たちのせっつきで渋々腰を上げたかたちであった。ファンのひとりとして日頃残念な思いを噛みしめていることをこの機会に表明しておきたい。 (p.208)

 この文章が書かれたのが1980年。生田耕作がこの画集を見たならどれほど喜んだことか。

 ちなみに、『黒い文学館』には、「アルフォンス・イノウエ」のすぐ後に「売り絵」という文章が収録されている。この本の中で私が最も好きな文章がこれである。ここに登場する「洋画家のI氏」はおそらくイノウエ氏のことだと思うのだが、ずっと気になっていることが一つある。 ...生田耕作の注文した油彩画「春の水」は完成したのだろうか? 私はその絵を見たくて仕方がないのだ。

2003-08-18
アルフォンス・イノウエ銅版画集 『Belles Filles ベル・フィーユ』 刊行

 サバト館から出版案内の葉書が届く。サバト館のオフィシャル・ホームページを見ると今日付けで更新されていて、新しい「サバト便り」の頁でこの版画集がいくつかの作品の画像とともに紹介されている。紹介文がとても良いので一部を引用する。

 蛇性をひそめた魔性の女、魂と愛の永遠を願う清らかな女性、
無垢さと官能を併せ持つ少女たちなど、詩的資質に富んだ画家が、
独自の繊細な線で描き出す女たちの競演。背徳の香り漂う甘美で
優雅なエロスの宴。

 じつは、「サバト便り」で紹介されている蔵書票(「レイミア」)と同じテーマの蔵書票を持っているのだが、これがレイミアだということは今回初めて知った(残念ながら票主ではないのだ)。ところで、この題材はキーツの物語詩から採っているのか、それともギリシャ神話から直接採っているのか?
 レイミア。またはラミア。美しい女の上半身に蛇の下半身を持つ妖魔。ギリシャ神話では、ゼウスの好色とヘラの嫉妬による悲しい犠牲者。キーツの詩では、人間の若者と悲しい恋に落ちる美しい蛇の精。

2003-08-17
『日本文化論の系譜』

 大久保喬樹 『日本文化論の系譜 『武士道』から『「甘え」の構造』まで』(中公新書, 2003.5.25) 読む。ベルメール−日本的球体関節人形論の絡みで日本文化論にまで踏み込む必要がでてきてしまった。ここまで奥の深いテーマだとは思いもよらなかった。

2003-08-16
レームブルック展

 札幌芸術の森美術館で開催されている「レームブルック展」に行く。今まで、この彫刻家のことは知らなかった。ロダンやマイヨール、さらにはブランクーシの影響を受けたようだが、長く引き伸ばされた身体に深い精神性を漂わせる作品は、エル・グレコの絵画に近いものを感じた。

レームブルック展

2003-08-15
ワーム MSBLAST (Blaster、Lovsan)

 トレンドマイクロ社のWebページ(WORM_MSBLAST.A - 詳細)に記載の情報によると、このワームは8月16日から発病して、"windowsupdate.com"に対してDoS攻撃を開始するようだ。 (厳密には、「月」が9月〜12月、または「月」が1月〜8月で「日」が16日〜31日)。

 ちなみに、このウイルスコード内には次のような文字列が含まれているとのこと。

I just want to say LOVE YOU SAN!!
billy gates why do you make this possible ? Stop making money and fix your software!!

 MSが修正ソフトの配布をWindowsUpdateに一元化しつつある時に、その基地にDoS攻撃を仕掛けるようにするとは、まるでAIDSのようなワームだな。それにしても、住基ネットのクライアントOSがWindowsで、しかもそのメンテナンスを業者に任せるしかない状態ってのは、「危険」を絵に描いたような状態だぞ。

2003-08-12
土井典 『偽少女』

 先月購入していた土井典作品集 『偽少女』(論創社, 2003.6.20)をざっと眺める。この人形作家の作品を見る時はいつも、男と女の感性のあまりの違いに目眩のようなものを覚える。彼女はハンス・ベルメールの人形の「贋作」を制作しているが、ベルメールをどの様に捉えていたのだろうか?

澁澤家のベルメール人形(模型)

2003-08-11
イサム・ノグチ展 in ガラスのピラミッド

 モエレ沼公園のガラスのピラミッドで開催されている「イサム・ノグチ展」を見る。ショップにてビデオ「大地の彫刻〜モエレ沼公園〜」購入。

2003-08-08
体験学習(土器の復元)

 サロマ湖畔のホテルに宿泊。常呂町の「ところ埋蔵文化センター」にて体験学習。発掘された土器の欠片をつなぎ合わせて復元する作業を体験した。山のように大量の破片から、破面の一致するピースを探し出す。6人がかりで4対のピースが見つかっただけ。素人にはかなり大変な作業だ。

2003-08-01
鋳物月間の始まり

 ちなみに「鋳物月間」というのは私が勝手に決めたもので、今月は鋳物作りをみっしりやろうという個人的意気込みを表している。(それだけ)


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2003年8月
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