いもじな日々

−作業記録と雑感−

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2004_04

2004-04-30
虚偽意識

 大塚英志 『「おたく」の精神史 一九八〇年代論』読了。結構面白かった。ただ、著者がどの様な現実感覚を持っているのか、疑問を持った。例えば、彼は盛んにシミュレーショニズム(*)を引き合いに出すが、そのような概念で表層的な精神現象をいくら精密に描写したとしても、時代の本質は見えてこないと思う。
  (*)ここではボードリヤールの理論をこう呼ぶことにする。

 例えば、これまでアメリカの権力者が自らの利益のための戦争を行うに際して、国民の意識を操作するためにどれほど徹底した情報操作を行ってきたかを考えてみればいい。彼らの思考は徹底してリアルだ。このような現実の存在(可能性)に対して、シミュレーショニズムは何を語ることができるのか? ボードリヤールは「湾岸戦争はなかった」などとほざく前に、湾岸の地に行って自分の目で確かめるべきだったのだ。戦争はあくまでも物質的だ。家が破壊され、大切な者の血が流される。何よりもまず、そこから出発すべきだったのだ。

 しかし、戦争を行う権力は、それを見せないように情報をフィルタにかける。その情報操作の結果が「テレビゲームのような戦争」だった。

 そして、それでは、80年代の日本はどうだったのだ?

2004-04-24
手塚治虫おそるべし

 『手塚治虫アンソロジー ロボット傑作集』@(秋田文庫, 2004.2.10)、A(秋田文庫, 2004.4.10)。
 「聖女懐妊」(@巻所収)。人間の男と愛を契った「女」のロボットが、子供を授かることを望む。男は賊に殺されてしまうが、ロボットは悲しみの中で男の生まれ変わりである子供を身ごもる。 ...この作品が書かれたのが1970年。手塚はアニミズムの思想家である。

2004-04-22
ヽ(□ ̄ヽ))((ノ ̄□)ノ 忙しい。

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[書籍]

2004-04-16
本屋で

 ベルメールの人形写真が表紙になっている新刊書を見かけた(金原ひとみ『アッシュベイビー』)。芥川賞作家とかには全く興味ないので、その時は購入しなかった。ただ、この本の装幀と内容との間に何らかの関係があるとしたら...、例えば、ベルメールに惹かれる現代の女性が彼の人形写真に投影しているのが、解体される、あるいは自己解体する「自己」のイメージだとしたら...、検討の必要があると思うのだが。

2004-04-13
『ザ・ドール ハンス・ベルメール人形写真集

 トレヴィル版のベルメール写真集が、河出書房新社より復刊決定。(→『ハンス・ベルメール』 復刊特集ページ

2004-04-11
逆ピグマリオニズム?

 図書館から谷川渥 『表象の迷宮』を借りる。第Y章の「ピュグマリオン・コンプレックス」では、既に「逆ピュグマリオニズム」(「逆ピグマリオニズム」)という言葉が出ている。この言葉の意味は、『文学の皮膚』所収の「見ることの狂気 川端康成の逆ピグマリオニズム」で詳細に論じられており、現在一定の影響力を持っているようだ。

 しかし、私は「逆ピグマリオニズム」という用語は適切ではないと考えている。この言葉は、「ピグマリオニズム」という用語が本来持っている内容を不当に矮小化してしまう。「ピグマリオニズム」=「人形愛」とは、人間の自立性を剥奪しようとする志向(人形化)と、冷たく動かない人形を温かくて柔らかく自律的に動くように望む志向(人間化)とを内包する概念である。そして、ピグマリオニズムは、決して人形を自立した人間にすることは望まない。ピグマリオニズムの理想とは、必要に応じて温かくも柔らかくもなり自律的に動きもするが主体性を持たない従順なアンドロイド(ガイノイド)なのだ。谷川氏の言う「逆ピグマリオニズム」とそこから逆に規定し直される「ピグマリオニズム」との相違は、たまたまピグマリオニストの手元にあったのが「人間」か「人形」かということだけなのだ。円環上の一点から別の一点に行くためには二つの道がある。それらの道の方向は一見逆方向だが、目指す地点は同じなのだ。

(参考書・サイト)

2004-04-10

 潮漫画文庫版の星野之宣 『宗像教授伝奇考』 第一集〜第三集を読む。この連作に通奏底音のように流れているのが古代の製鉄の民の世界的伝播というアイデアなのだが、これが様々な伝説を巻き込んで巨大な歴史像を作り上げていく過程は、圧巻の一言だ。

 ところで、純粋な鉄は、柔らかく、錆びにくい。この従来の鉄のイメージを覆す事実が明らかになったのは、ごく最近のことだ。

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 大学院入学おめでとうございます。

2004-04-05
「POUPEES」展(2004年1月19日〜7月25日)

 パリ市立アル・サン・ピエール美術館で開催中の「POUPEES」展に関連する文献。

 「Doll Forum Japan」と「月間美術」では、「球体関節人形展」を含む日本の最近の人形展の記事とともに、菅原多喜夫氏による「POUPEES」展の紹介と論評が掲載されている。また、同氏による以下のWebページは、「POUPEES」展のカタログを見る上でとても参考になる。

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「球体関節人形展」等関連リンク

 例の如く、論評無しで。

2004-04-04
「イノセンス」

 映画館に行ったのは何年ぶりだろう。「適度」な人入りでゆったりと見れたのは、私にとっては幸運だったが、製作者側にとっては黙示録的光景かもしれないな。取り敢えず、一度見た段階での感想。

2004-04-03
ヽ(□ ̄ヽ))((ノ ̄□)ノ

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[書籍]

 桜井哲夫 『「戦間期」の思想家たち レヴィ=ストロース・ブルトン・バタイユ』は読了。特に最初から意図したわけではないが、渡辺淳 『二十世紀のフランス知識人』と桜井哲夫 『「戦間期」の思想家たち』とを比較しながら読んだことになる。いずれもヨーロッパにおける「危機の30年代」に対する関心から購入したのだが、これらを読んで、或る事柄を調査するには複数の情報源にあたる必要があるということを改めて痛感した。例えばアンドレ・マルローに対する評価などは、両者の間に大きな違いが見られる。渡辺淳による扱いは、いわば公式的扱いであり、逆に桜井哲夫によるそれは、マルローの裏の実像を暴き出している点で極めて批判的である。

 私は、言うまでもなく、桜井氏の姿勢に親近感を憶える。<粉飾された権威>など、害悪以外の何物でもない。そういう意味で、『「戦間期」の思想家たち』におけるアンドレ・ブルトンの『ナジャ』への評価はとりわけ興味深かった。

2004-04-01
「私は嘘吐きだ」

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 3/30 ベルメール・コンフェランス(ベルメールを肴に語る会)。


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2004年4月
日曜鋳物師のページ