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教文部ニュース第十九号

2000.5.29発行
東北大学職員組合教文部 発行
Tel:022-227-8888 Fax:227-0671
 E-mail:touhokudai-syokuso@ma5.seikyou.ne.jp


自民党文教部会

「提言 これからの国立大学の在り方について」を批判する

I.自民党文教部会「提言 これからの国立大学の在り方について」批判



II.資料:文部省「検討の方向」から自民党文教部会「提言」までの経緯
  1. 文部省・国大協・政府・自民党の動き
  2. 第146回国会における行革関連法案の審議・成立過程
  3. 財界の“大学改革”提言
  4. 大学間提携,大学統合の動き
  5. 大学独自の設置形態検討案
  6. 大学教授会等の独法化反対声明,反対決議
  7. その他


□独立行政法人化強行の動きと大学の未来を考える緊急学習決起集会のご案内


I.自民党文教部会「提言 これからの国立大学の在り方について」批判

 去る5月9日、自民党文教部会・文教制度調査会は「提言 これからの国立大学の在り方について」(以下、「提言」とする)なるものを公表しました。これは、同党文教部会教育改革実施本部・高等教育研究グループ(通称「麻生グループ」、森山真弓・有馬朗人元文相らが中心メンバー)が、3月30日に発表した案をまとめなおしたものです。作成にあたっては5回にわたって大学関係者(阿部東北大総長も含む)・学識経験者からヒヤリングを行い、最終的に同党の行革推進本部幹部会のお墨つきも得たとしています。今後の独立法人化(以下、独法化)をめぐる議論に大きな影響を与える可能性をもつものであり、また、一部に「落としどころ」、「ぎりぎり譲れない線を示した」、「国立大学の意見が取り入れられた」等の評価が見られることを考慮し、教文部として批判的に検討を行いました。以下、一問一答式で問題点を指摘し、みなさんの討論の一助としたいと思います。
 *以下、3月案とは3月30日付のものを、最終案とは5月9日付のものを指します。

□なぜ自民党が「提言」をまとめたのでしょうか?

 文部省は昨年9月に独法化に関する「検討の方向」を示しましたが、大学関係者を中心とする反発の前に、それ以上の具体案を公表できないという状況に直面することになります。そこで、与党第一党である自民党に独法化の原案を作成・公表させることで、文部省が方針を発表する際の露払いをさせようとしたのです。「麻生グループ」が、文部省と密接に連絡をとりながら作業を進めたことが明らかになっており(「麻生グループ」発足に際し、文部省から各大学事務長宛に報告があり、議事要録も送付されたことなど)、同グループはいわば文部省の別働隊としての役割を果たしたのです。

□独法化については何といっているのでしょうか?

 焦点は通則法との関係でしょう。これについて「提言」最終案では、「通則法の基本的な枠組みを踏まえつつ」「大学の特性を踏まえた措置を要する」としています。通則法の縛りはゆるぎない前提なのです。おまけに3月案では特例法を定めるべきといっていたのが、最終案では「通則法との間で一定の調整を行う調整法(又は特例法)」を制定するに後退させられています。具体的な問題点は次項以下で見ていきますが、総じて独法化に関しては、通則法適用の若干の例外を認めたものに過ぎないと評価するのが妥当です。また、「提言」では、「大学に『独立行政法人』という名称を冠することへの違和感を指摘する声も少なくない」として「国立大学法人」と称することを提唱していますが、これも単なる看板のつけ替えです。新しいかたちの法人を提言したなどという風評は幻想に過ぎません。

□大学の自治や管理運営についてはどのようなことをいっていますか?

 大学構成員による学長選挙および学部(教授会)自治の否定を提言していることが最大の特徴であり問題点です。通則法をそのまま適用すれば学長は主務大臣によって任免されることとなります。さすがに「提言」もそれは「大学にふさわしくない」としています。しかし、「学長選考のための学外の関係者及び学内の代表者(評議員)からなる推薦委員会を設けた上で、これに『タックス・ペイヤー』たる者を参加させるなど、選考方法の適正化を図るべき」というのでは五十歩百歩ではないでしょうか。学部自治・教授会自治にいたっては大学改革の障害物としてしか評価されていません。国立大学にも「より大きな自由とより重い運営責任」が求められているといいつつ、大学構成員の主体性を無視し、運営からの排除を提言しているのです。
 また、「提言」は「諸規制の緩和」を方針に掲げていますが、それは決して大学人によるより自由な研究教育活動を保証するものではなく、社会に開かれた大学の美名の下に、外部からいかにたやすく大学をコントロールできるかという思惑に基づいたものに過ぎません。最終案では、3月案で「法人化により、国の様々な規制が弱まる」としていたのを、わざわざ「大学運営をめぐる日常的な国の規制が弱まる」と限定し、一方で「国立大学については、国が、その運営や組織編成の在り方に対して、相当の関わりを持つことは当然であり」などと従来以上に規制を強化することをあからさまに述べています。独法化で大学の自由度が高まるなどということはあり得ません。

□定員削減の問題については触れていますか?

 定員削減の問題にはまったく触れられていません。独法化すれば定員25%削減から逃れられるなどといわれていましたが、どこにも保証はありません。それ以外にも、独法化をめぐってこれまで論点になってきたことに対しほとんど言及がありません。たとえば、教職員の身分の問題(ただし、5月8日付朝日新聞オピニオン欄のように公務員身分が確保できるか否かが最大の争点のように言うのは問題の矮小化です)、授業料の問題、事務機構が文部省の一元的支配の下に置かれている問題などです。要するに教職員や学生の目線からの切実な要求など取り上げる気がないのです。一方、教員の任期制については、現状に不満を表明し、その積極的導入を主張しています。ついでにいえば「提言」の念頭にあるのは国益のみであり、大学が人類共通の課題にいかに取り組むかといった問題意識も欠落させています。大学を金もうけの道具としてしか見ない貧困で粗雑な高等教育論と断ずるほかありません。

□とはいえ「提言」では、良いこともいっているのではないでしょうか?

 確かに、公的投資の欧米諸国並み水準への拡充、地方国立大学・基礎研究・社会の需要は乏しいが重要な学問分野などについて配慮する等々の文言が盛り込まれています。これをわれわれの運動の反映と評価することも可能でしょう。しかし、公的投資の拡充についていえば、資金の分配に関して「競争的」ということを強調するばかりで、各大学の基盤を確固にしていこうという観点はまったくありません。そもそも公的投資が拡大される具体的方策が示されておらず、独法化で自治も自由も奪われ、おまけに研究費も減らされたという結果に陥る危険性もあります。また、地方国立大についての、「地域の産業、文化の振興などに果たしてきた役割を十分評価し、その維持強化を図るべきである」という文言と「国立大学ともいえども・・・選別と淘汰もさけられない」「国立大学の再編統合の推進」等がどう整合するのでしょうか。理解に苦しみます。リップサービスに惑わされずに、基本的問題点をおさえることが肝心だと考えます。

□総合評価はいかがでしょうか?

 ご存じのように、行政改革の一環として独法化を推し進めることに対して大学関係者を中心とする強い反発が起こりました。文部省・自民党もさすがにその線で押し通すことが無理と判断し、こんどは大学改革や高等教育論の文脈の中で独法化を論じることで、批判をかわし事態を進めよういう路線に転じたのです。「提言」はそのために作成された政治的文書というべきでしょう。しかし、そこで展開された教育論も大学審議会答申「21世紀の大学像と今後の改革方策についてー競争的環境の中で個性が輝く大学ー」(1998年10月、ルーツをたどれば財界の提言)を下敷きにしたものに過ぎず、まったく新鮮味はありません。また、そもそも大学審答申に基づく諸法規改正にあたり文部省自身が「独法化を避けるためにこれを承認しなければならない」といっていたのですから、大学審答申の延長線上に必然的に独法化が位置づけられるわけでないことは明らかです。「提言」の論理ははじめから破綻しているのです。おまけに、権益確保を画策する文部官僚・自民党文教族(「麻生グループ」)と行政改革推進派(行政改革推進本部)の政治的妥協の産物という性格から、首尾一貫性を欠いた矛盾に満ちた文書となってしまったのです。こんな代物に大学の未来が託せるでしょうか。

□独法化の問題は今後、どのように動いていこうとしているのでしょうか?

 文部省は、5月26日に国立大学長会議を召集し、そこで自民党案と整合した同省の方針を提示しました。また、文相の私的懇談会(江崎玲於奈氏らがメンバー)を開いて独法化案について意見を求めるとともに、この夏にも国立大学長・財界人らからなるワーキング・グループをスタートさせ、2001年度中に独法化に向けた細部の詰めを行うとも伝えられています。一方、国大協も6月13日に開催される定例総会で文部省案に対する回答を行うとされています。文部省がまるで水を得た魚のように動き出しています。これは、先に述べた、自民党文教部会・「麻生グループ」が文部省の露払い的役割を果たしたということを裏書きしているともいえます。

□運動の中で「提言」にどのように対処していけばよいでしょうか?

 「提言」最終案に対し一部新聞が「大学の自主性に配慮」、「通則法は適用せず」などと報道したため、それに惑わされて幻想を抱いたり、妥協点だと評価したりする人が少なからずいます。しかし、実態はまったく異なっています。上記のような問題点を宣伝し、「提言」によって何ら新しい方向性が示されたわけではないということを知らせることが大切です。5月15日には、福井大学教育地域科学部が独法化反対の教授会見解を示し、記者会見を行っています。「提言」が発表されたからといって無力感を抱くことなく、一層取り組みを強化することが肝要でしょう。当面は、6月の国大協総会が山場です。独法化問題について検討している第一常置委員会の委員長が阿部総長ということもあり、東北大学での運動が特に重みをもっていることを強調しておきたいと思います。




II.資料:文部省「検討の方向」から自民党文教部会「提言」までの経緯

各々の項目からhyperlinkを張るのが本来のWebらしいやり方ですが,それは<特集:大学改革>の方をご覧ください.

A.文部省・国大協・政府・自民党の動き

1999.09.20
国立大学長・大学共同利用機関所長等会議。文部省は国立大を独立行政法人化することを表明。
1999.09.21
第15回中央省庁等改革推進本部顧問会議。国立大学の独立行政法人化については、文部省の検討結果がより具体的に出てきた段階で検討したいと事務局が説明。
1999.10.04
ブロック別国立大学長会議はじまる(10月29日まで)。各学長に対する文部省の説明と質疑。
1999.11.17
国立大学協会総会(翌18日までの2日間)。文部省案に対する国大協としての意見集約まとまらず。
"「検討の方向(文部省案)」に対しての意見の表明をさしあたり避けているのは、こうした独立行政法人化が、現状では、実現されるべき高等教育の改革にとって必ずしも有効な手段とはなりがたいと考えるからだ。(蓮實会長談話)"
1999.11.18
自民党は文教部会・文教制度調査会合同会議を開き、教育改革実施本部の役員人事を森山眞弓教育改革実施本部長に一任するとともに、新たに高等教育について検討する研究グループを設置することを了承し、同研究グループの人事も同じく本部長に一任。
1999.11.26
国大協第一常置委員会が各国立大学長あてに「依頼文書」送付。その依頼内容は、国立大学の独立行政法人化が行われる事態となった場合、大学の特性からどうしても譲歩できない点を2点程に絞り提出すること。その意見集約をふまえ第一常置委員会として整理。
1999.12.08
国大協蓮實会長、中曽根文相と会談。(1)通則法の適用には反対(2)文部省の示した特例措置は最低限のハードル(3)特例措置が実現した場合にも国際水準の維持向上は社会的使命、の三点を申し入れ。
1999.12.09
8日の文相・国大協会長会談を「国大協方針転換、独立行政法人化条件付き容認」と読売新聞が報道。
1999.12.10
国大協事務局が読売新聞に9日報道を事実無根と抗議。各大学学長宛には、国大教の立場に変わりのないことを通知。
1999.12.22
国大協第一常置委員会によるアンケートの結果が明らかになる。大学の自主・自律性を確保し、教育研究や組織運営に政府が干渉しないことなどを求める意見が大勢。回収率は100%。
〈主な意見〉○教育研究の自主・自律性 (72大学・大学共同利用機関)
○組織の自主・自律性 (63大学・大学共同利用機関)
○財政基盤の確立 (56大学) ○公正な評価 (33大学)
○教職員の身分保障 (12大学) ○地方大学への配慮 (4大学)
2000.01.24
第16回中央省庁等改革推進本部顧問会議。文部省は来年度の早い段階で方針を固めたいとしているとの説明がある。
2000.01.30
「独立行政法人」に適用される会計基準の骨子がまとまる。国が法人に代わって負担する行政コストについて、貸借対照表や損益計算書とは別に文書を作成することを盛り込んだのが大きな特徴。
2000.02.24
自民党・高等教育研究グループ会合。意見陳述人、阿部博之東北大学長、長尾真京都大学長、杉岡洋一九州大学長。
2000.03.02
自民党・高等教育研究グループ会合。意見陳述人、石弘光一橋大学長、原田康夫広島大学長、田中弘允鹿児島大学長。
2000.03.06
自民党・教育改革実施本部・高等教育研究グループ(主査:麻生太郎元経企庁長官)が、国立大学を独立行政法人化する政府の方針を見直し、国立大独自の新たな枠組み「国立大学法人」(仮称)の検討に入ったと読売新聞が報道。
2000.03.07
自民党・高等教育研究グループ原案が共同通信によって報道される。「国立大学法人」は、「独立行政法人通則法」+「特例法」であることが明らかになる。
2000.03.07
自民党・高等教育研究グループ会合。意見陳述人、小出忠孝愛知学院大学長、大沼淳文化女子大学長、大南正瑛立命館大学前学長。
2000.03.09
自民党・高等教育研究グループ会合。意見陳述人、鳥居泰彦慶應義塾大学長、奥島孝康早稲田大学長、武田建関西学院大学理事長。
2000.03.14
国大協事務局文書「独立行政法人化問題に対する当面の対応について」が各大学学長に送付される。3月8日の国大協理事会でまとめられた見解の通知。
  1. 設置形態の黒白を争う議論は、政治状勢の動きを考えると、現時点では適切ではない。
  2. 若干名の理事の発言によれば、国立大学は多様であるのでいくつかのグループに大別されることもあり得るであろう。また当然のことであるが、グループごとの将来像の検討の意義は大切にしたい。しかし当面は、国大協共通の検討事項を優先すべきである。すなわち、国大協の分割を誘導するような議論は、少なくとも現時点では適切でない。
  3. 「国立大学と独立行政法人化問題について(第1常置委員会中間報告 1999.9.7)」を出発点として、財政問題などを中心とする個別事項の議論を深めていくことを、当面の課題として第1常置委員会に付託する。
2000.03.14
自民党・高等教育研究グループ会合。意見陳述人、清水司中央教育審議会元会長、潮木守一武蔵野女子大学学長、生駒俊明日本テキサスインスツルメント(株)社長。
2000.03.16
国大協蓮實会長、首相官邸に小渕恵三首相を訪ね国立大学の独立行政法人移行問題について慎重な検討を要請。
2000.03.18
地方大学44学長が自民高・等教育研究グループに要望書を提出。地方国立大学に対する国策としての育成を強く要望。
2000.03.22
自民党・高等教育研究グループ、最終案を固める。
2000.03.27
総理大臣の諮問機関「教育改革国民会議」の第1回会合が開催される。座長は江崎玲於奈前筑波大学長。
2000.03.30
自民党・高等教育研究グループ、3月22日案に修正を加えた最終案を公表。学長選挙や教授会自治に対する論難、任期制のより積極的な導入、検討期間の短縮化が主な修正内容。
2000.04.01
「学位授与機構」を母体に、大学共同利用機関の「大学評価・学位授与機構」(木村孟機構長)が発足。
2000.04.28
文部省の「調整法」案が共同通信によって報道される。
2000.05.09
自民党・文教部会・文教制度調査会、「提言 これからの国立大学の在り方について」をまとめ、公表する。

B.第146回国会における行革関連法案の審議・成立過程

1999.11.05
独立行政法人個別設置法案などの行革関連法案が閣議決定。
1999.11.08
独立行政法人個別設置法案などの行革関連法案が国会提出。
個別法案提出理由: 中央省庁等改革の一環として、独立行政法人通信総合研究所を設立するため、その名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。(独立行政法人通信総合研究所法案の場合)
1999.11.17
独立行政法人個別設置法案などの行革関連法案の審議が衆議院行革特別委員会ではじまる。
1999.11.24
衆院行政改革特別委員会で行革関連法案が採決され、民主、共産両党は反対したものの、自、自、公、社民各党の賛成多数により可決。
 反対理由・民主党:実質的な行革が進まない。独法については十分な審議検討が尽くされていない。水曜日に審議入りし1週間で採決。反対の第1、独法は民営化にほど遠く疑似特殊法人だ。行政改革によるスリム化で財政を再建するというイメージがない。
 第2、法人の選定基準、理由がなく、59法人職員のモラール(士気)へのインセンティブが出るのか疑問。第3、定員問題で、身分は国家公務員でありながら定員削減25%にカウントし国家公務員の定員からはずれる、つまり国家公務員でなくなる。これはまやかし。
 反対理由・共産党:中央省庁等改革関係施行法案は国民生活分野を削減し、大企業奉仕分野を温存する省庁改革のためである。無駄をなくす国民の願いに逆行。独法関連法案は、国が自ら主体となって直接実施すべきものを国から切り離して責任放棄するもの。1法案当たり10分の審議時間しかなかった。これは国会の審議権の否定。与党に厳しく抗議する。
1999.11.25
衆議院本会議で、行革関連法案が採決され、民主、共産両党が反対したものの、自民、自由、公明、社民の賛成多数により可決。
1999.12.03
参議院行革・税制特別委員会で独立行政法人個別法等の審議始まる。
1999.12.13
参議院行革・税制特別委員会で行革関連法案が採決され、民主、共産両党が反対したものの、自民、自由、公明、社民、参院の会、二院クの賛成多数により可決。
1999.12.14
参議院本会議で、行革関連法案が採決され、民主、共産両党が反対したものの、自民、自由、公明、社民等の賛成多数により可決。

C.財界の"大学改革"提言

1999.10.19
経団連「産業競争力強化に向けた提言」。
「産業のニーズに合致したより質の高い教育サービスを提供する観点から、競争原理の導入を進めることが重要である。具体的には、国立大学の独立行政法人化、任期制の採用等による大学研究者の人材移動、大学の学部・学科の設置の自由化、大学(国公立・私立)の教育内容等を評価する第三者機関の創設及び評価結果の公表、職業能力の開発に資するコースの設置、コミュニティカレッジの機能強化など社会人教育の充実などを図るべきである。」
1999.11.26
経団連提言「科学・技術開発基盤の強化について」。
「第一に、大学の個性化による競争原理の導入と、今般の行政改革の一環として議論がなされている国立大学の独立行政法人化への対応である。国立大学における教育・研究は、自主性・自立性と自己責任を基本として行われるべきものであるが、今後の見直しの方向としては、大学の活性化を目指し、欧米諸国の大学に見られるように、独立した法人格を持つことにより、自らの権限と責任において大学運営にあたること、組織編成、教職員配置、予算執行等の面で、各大学の自主性・自律性を発揮できるようにすること等が重要である。」
2000.03.28
経団連意見書「グローバル化時代の人材育成について」公表。
多様な選択機会の確立(教育側における競争原理の導入)、各大学による自由な学部・学科の設置、国立大学への独立した法人格の付与、大学の第三者評価システムの導入、等々。」

D.大学間提携、大学統合の動き

1999.11.04
東京5大学(一橋、東京工業、東京外国語、東京医科歯科、東京芸術)連合構想の報道。教養教育の共同実施や編入学の相互受け入れなどが柱。
1999.11.08
奈良県内8大学(帝塚山、天理、奈良教育、県立医科、県立商科、奈良産業、奈良女子、奈良)が連合組織創設を目指す初会合。
1999.11.09
富山県内3大学(富山大、富山医薬大、県立大)の大学院単位互換制度構想の報道。将来的には学部の教養教育の共同実施にも広げたい考え。
1999.12.02
広島県立3大学の将来像を検討していた知事の諮問機関、県立大学連携方策検討委員会は2005年をめどに各大学を県の直轄運営から切り離した独立行政法人とする改革案をまとめる。
1999.12.13
高知大と高知女子大,が来春から単位互換をスタートさせることになり両大学長が協定書の覚書に調印。
1999.12.21
大阪府内の40大学の学長でつくる大阪府内大学学長会議は単位互換制度を導入する構想を固め具体策の検討に着手した。早ければ2001年春からの実施を目指す。
2000.01.11
山梨大と山梨医科大の2つの国立大学が統合を検討していることが明らかになる。
2000.02.15
東京都石原知事が都立4大学・短大(都立大、科学技術大、都立短大、保健科学大)の統合構想を打ち出す。
2000.02.16
長崎大など長崎県内6大学・7短大が、単位互換や教員の相互派遣などでの連携の検討を開始。
2000.03.06
岩手県内5大学(岩手大、県立大、岩手医大、富士大、盛岡大)学長会議を新設。国公私立の枠を超えて連携を探る。
2000.03.22
国立の香川大と香川医大が、学長レベルで統合に向け検討を始めていることが明らかになる。両学長は昨年末から統合について話し合い、4月から双方の学内で正式に協議することで一致。
2000.04.15
神戸商科、姫路工業、県立看護の兵庫県立3大学の改革を目指して県が設置した「県立大学検討懇話会」、3大学の統合を検討していると報道される。
2000.04.27
弘前大学吉田学長、岩手大学、秋田大学と教育や研究面で協力し合う「北奥羽三大学協力構想」の検討を公表。教養教育の単位互換、国際交流事業の相互協力、3大学による共同研究が主な内容。
2000.05.02
山梨大と山梨医科大が統合を目指すことで合意し、両学長による統合推進に関する合意書の調印式が行われた。国立大同士の統合は全国でも初めて。
2000.05.08
宮城県内の21大学・短大で構成する「仙台学長会議」は他大学の履修科目でも単位を取得できる「単位互換制度」の協定案を承認した。9月25日に調印式が行われる。
2000.05.09
国立の医科大学13校のうち少なくとも6校が地元の国立大学などとの統合に前向きな姿勢を示していると読売新聞が報道。すでに統合に向けて協議することを明らかにしている山梨医大、香川医大に加え、宮崎医大と宮崎大、富山医科薬科大と富山大も非公式ながら学長レベルで意見交換を行っている。大分医大など2大学も「今後検討したい」との姿勢を示した。
2000.05.18
国立宮崎大学と同宮崎医科大学が統合に向けて近く協議会を設置することが明らかになる。

E.大学独自の設置形態検討案

2000.01.11
東京大学「設置形態に関する検討会」、最終的な報告書をまとめ公表。行政組織のスリム化を目的とした独立行政法人通則法を大学に直接適用することには反対しているが、特例法の制定で大学が法人格を取得し、自主性を確保する道については「時問をかけて立ち入った検討をする」との立場を表明。
2000.03.10
東京大学は、同大を法人化して文部省から独立させる方向で独自の枠組みづくりをスタートさせることを決めた。三月中にも蓮實学長の下に学内の専門家を集めた「国立大学制度研究会」を設け、早ければ4月中にも報告をまとめる。
2000.03.13
大阪大学設置形態に関する検討委員会、「大阪大学の設置形態に関する見解」公表。「独立行政法人通則法の下での国立大学の独立行政法人化には極めて問題が多いと考える。従って、我々は独立行政法人を既定のものと捉えることなく、純粋に学問的かつ教育的見地から、国立大学の設置形態に検討を加えていかなければならない。」

F.大学教授会等の独法化反対声明、反対決議

1999.07.22
千葉大学・文学部:教授会決定、「国立大学の独立行政法人化に反対する」。
1999.08.31
北海道大学・理学研究科・理学部:「国立大学の独立行政法人化に関する理学研究科・理学部の意見」。
1999.09.27
茨城大学・理学部:理学部長主催懇談会・国立大独立行政法人化に関して−中間まとめ「いわゆる通則法での行政改革法人化には反対の立場を堅持し、早急な判断により結論を急ぐべきではない」。
1999.10.05
鹿児島大学・教育学部:「独立行政法人化の再考を求める」意見書。
1999.10.20
東京外国語大学・地域・国際講座:「地域・国際講座は、国立大学の独立行政法人化に反対を表明することになった」。
1999.10.20
岐阜大学地域科学部:教授会の意見表明、「国立大学の独立行政法人化に反対するという従来からの立場を再確認し、…文部省、国大協をはじめとする関係諸機関における慎重な対応を要望する」。
1999.10.27
日本学術会議:会長談話、「拙速にこの問題に対する結論を出すならば,我が国の将来の高等教育・研究に取り返しのつかない禍根を残すおそれがある。」
1999.10.27
東京外国語大学・総合文化講座:「本来のあり方を大きく損なうことが予想されその結果には大きな危惧を感じる」。
1999.10.27
東京外国語大学・大学院・国際文化講座:「現在実施されようとしている国立大学の独立行政法人化に反対することを全員一致で決議しました」。
1999.10.27
東京外国語大学・アジア・アフリカ言語文化研究所:独立行政法人化に対する議決、「付置研究所を含む国立大学の独立行政法人化には問題が多く、…、これに反対の意を表明する」。
1999.10.27
埼玉大学・教育学部:「独立行政法人化」に関する文部省の「検討の方向」に対する教育学部教授会の意見、「「独立行政法人通則法」は大学の在り方と両立しないと認識する」。
1999.10.28
東京学芸大学・国際文化教育課程欧米研究専攻教官一同:「国立大学の独立行政法人化に対して重大な疑念を表明します」。
1999.11.01
山形大学・理学部:「理学部教授会は、平成9年11月の国立大学協会の反対声明、同年10月の東北地区国立大学学長会議の反対声明及び平成11年1月の評議会の反対決議を支持する」。
1999.11.08
山形大学・学長:国大協あて要望書、「本学は、平成9年11月13日の国立大学協会の反対声明を現在もなお支持するものであり、現状況においても国立大学協会として今後もそれを堅持することを要望」。
1999.11.09
信州大学・理学部:「国立大学の独立行政法人化に対する理学部の意見」を決議、「基礎科学教育・研究の崩壊につながりかねない」。
1999.11.11
国立大学理学部長会議:「危うし!日本の基礎科学−国立大学の独立行政法人化の行方を憂う」。
1999.11.18
京都大学・理学部:声明「国立大学の独立行政法人化を危惧する」。
1999.11.25
北海道大学・学長:学内での記者懇談会で個人の見解としつつ、構成員全員が責任をもって議論すべきことを指示、「議論が尽くされていない現段階では反対」。
1999.11.25
千葉大学・園芸学部:国立大学の独立行政法人化に反対する教授会決議。
1999.11.26
北海道大学・農学研究科・農学部:独法化問題に関する拡大教授会を開き、議論の結果、「独立行政法人通則法の国立大学への適用に反対する」ことが議決される。
1999.11.30
佐賀大学・経済学部:国立大学の独立行政法人化に反対する教授会決議。
1999.12.22
金沢大学・経済学部:「国立大学の独立行政法人化に対する私達の見解」公表。「独立行政法人化への動きを容認することは、戦後半世紀にわたって培われてきた日本の人文社会科学の伝統を否定することと同義である」。
1999.12.27
名古屋大学・医学部保健学科:「独立法人化を憂慮する学科声明」。
2000.01.20
京都大学・総合人間学部:教授会決議「国立大学の独立行政法人化に対する見解」。「独立行政法人通則法にもとづく今回の国立大学「改革」案は、大学改革のあるべき姿とはほど遠いことを、われわれは憂慮をもって指摘せざるをえない」。
2000.03.07
愛知教育大学:愛知教育大学長宛て「国立大学の独立行政法人化に対する愛知教育大学教授会の見解」を決定。
2000.03.08
金沢大学は、大学としては全国で初めての意見書を文部省と国大教に提出。
 「独立行政法人への移行が,大学の自主性・自律性を阻害し,教育研究の高度化・活性化に有用でないことが判明するならば,金沢大学として独立行政法人へ移行することはあり得ない」、「国立大学の設置形態は,大学での教育と研究の在り方を左右する根本的問題であり,仮に,その変更を行うのであれば国立大学がこれまで果たしてきた成果と改善すべき問題点や独立行政法人化の長所と短所等について十分時間をかけて検討し国民の理解を求めていくべき問題といえる。しかるに,このための時間が非常に短期間であり,そのうえ,「国立大学の独立行政法人化の検討の方向」においては「検討する」とされている部分が多く,議論が不十分なまま推移していると考える。文部省には,制度設計者として,十分な討論のための時間と,特例措置基準の明確化を求めるものである」。
2000.03.13
国立17大学人文系学部長会議:「国立大学の独立行政法人化に関する声明」。「現在進行中の独立行政法人通則法に基づく国立大学の独立行政法人化の動きに対しては、重大な懸念を表明せざるを得ない」。
2000.04.11
富山大学・人文学部:意見表明「国立大学の独立行政法人化について」。「大学における教育研究の創造的展開のためには『通則法』、従ってまたそれを基本設計とする限り、独立行政法人制度は、大学に適用してはならない」。
2000.05.15
福井大学・教育地域科学部:独立行政法人通則法に基づいて国立大学を独立行政法人化することに、反対を表明。
2000.05.21
国立大学学長研修会参加者37名:「現在、国立大学の法人化に関する明確で具体的な制度設計が示されないままに、まず移行自体が決定されようとしております事態に対しましては、不安と危惧の念を抱くとともに深く憂慮している」

G.その他

2000.01.28
全国大学高専教職員組合(全大教)による「国立大学等の独立行政法人化反対中央行動」。総理府、文部省、中央省庁等改革推進本部、総務庁、約50名の各党国会議員に要請行動。文部省では独法化反対の署名21万6千383名筆を手渡す。


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